アライメントボール4モデルを比較
ターゲットに対して正確に構えるためには、専用の器具などを用いてボールにマジックで線を描くのが今までは一般的だったが、最近はあらかじめ「アライメントマーク」がプリントされているボールが流行。実際にプロが試合で使って結果を残していることも人気の理由だ。
その中から、ブリヂストン「ツアーBX ジャストインアライメント」、キャロウェイ「クロムソフト トリプルトラック」、テーラーメイド「TP5X Pix」、スリクソン「トライスター」の4モデルをグリーン上でテストした。
ショートパット、ミドルパット、10メートル以上のロングパットでどんな違いが表れるのだろうか。プロゴルファー・中村修がターゲットに向けてのセットのしやすさ、アライメントの線とフェースの構えやすさ、直進性が高い転がりをイメージできるか、ショートパット、ロングパットの5つを5点満点で比較テストした。
置きやすく転がりも見えるジャストインアライメント
【ブリヂストン ツアーB ジャストインアライメント】
セットのしやすさ ☆☆☆☆
構えやすさ ☆☆☆☆☆
転がるフィーリング ☆☆☆☆
ショートパット ☆☆☆☆☆
ロングパット ☆☆☆☆
「女子ツアー開幕戦で5年ぶりの復活優勝を遂げた渡邉彩香が使用していたので、インターネット中継で気がついた人もいるのではないでしょうか。縦横十文字に太さの異なる線と点線で描かれています。シンプルですが、実際にボールをターゲットに合わせると、とても合わせやすかったという印象です」(中村)
また、中村は、「中央の線の両サイドにある点線が効いています」とこう言う。
「この点線まで含めた太い線を転がすイメージで打てるので直進性の高い転がりになるイメージが沸きました。転がるボールを目で追うと、線が一周回ってきれいな線を描いていました。そういった意味で転がりのフィーリングは4点にしました。さらにショートパットでの安心感も高いので、短いパットが苦手な人にはおススメします」
ヘッドを置くとイメージが出るトリプルトラック
【キャロウェイ クロムソフト トリプルトラック】
セットのしやすさ ☆☆☆☆
構えやすさ ☆☆☆☆
転がるフィーリング ☆☆☆
ショートパット ☆☆☆☆
ロングパット ☆☆☆☆
「河本結が使用する「クロムソフト トリプルトラック」は色、線の太さ、幅が綿密に計算されていて、ターゲットに向けてセットするのも難しくはありません。構えてみてもその効果を非常に感じられます。赤い線をフェースの芯で打ち抜く感覚が出るので直進性の高い転がりが得られると感じました。実際に転がっているボールの図柄はキレイな線を描いているというよりも、狙った方向にしっかりと打ち出せることが確認できました」(中村)
中村がこのボールで評価するのは、スクェアに構えやすい点だ。
「アライメントラインとフェースがスクェアに構えられる感覚は非常に安心感があります。フェースの打点とボールの芯が一致するイメージが自然と沸くので打点が安定し、ミドルパットやロングパットでもタッチが安定しました。ということで、フェースの打点が安定しない、打ち出し方向が安定しない人にはおススメです」
転がりが見えるからタッチが合うPix
【テーラーメイド TP5X Pix】
セットのしやすさ ☆☆☆
構えやすさ ☆☆☆
転がるフィーリング ☆☆☆☆
ショートパット ☆☆☆
ロングパット ☆☆☆☆
「リッキー・ファウラーとデザインチームがサッカーボールをヒントに作り上げたというこのデザイン。実際に構えて打ってみるまで『本当に効果があるのか?』と半信半疑でしたが、転がるボールを見たら一目瞭然。図柄が残像のようになり、たしかなアライメント効果があります。まるでタイヤがついているように見える転がり方で視覚に訴えてきます。正確にターゲットに向けて構えるのは、少しやりにくかったのですが、そこまでシビアにならなくていいのかもしれません。
このボールは、他の3モデルとはちょっと意味合いが異なる。構えやすさというよりも、転がりのイメージを出すことに特化しているからだ。
「構えてみると、思ったよりも違和感はなく、転がっていくボールをイメージしながら打てることで安定した転がりにつながっているように感じました。サッカーボールをイメージしたボールは他社で過去にもあったような気がしますが、画像の通り転がりのいいイメージが自然と沸いてきます。転がりが安定しないことでタッチが合わない人におススメです」
置きやすくセットが簡単トライスター
【スリクソン トライスター】
セットのしやすさ ☆☆☆
構えやすさ ☆☆☆
転がりのフィーリング ☆☆☆
ショートパット ☆☆☆☆
ロングパット ☆☆☆
プロが使うツアーボールではなくアマチュアゴルファー向けのボールにアライメントマークがプリントしてあるモデルです。マークに合わせてしっかりとラインに対してスクェアにセットできますので、構えやすいです。
このボールは、アマチュア向けということもあり、いわばアライメント系ボールの入門編にいいと中村はこう推薦する。
「アライメントボールを試してみたい人におススメできます。買ってはみたものの合わせてパットするのが面倒になっても、マークが大きすぎないから普通に使っても邪魔になりません。たとえば、ショートパットだけ、ロングパットだけラインに合わせるといった使い方に向いています。マークが大きくないのでターゲットに合わせることにシビアにならずにセットできます」
以上4モデルを試してみたが、中村自身「アライメント系ボールの良さが再認識できた」という。
「普段使っている銘柄のボールにアライメントマークがプリントされたのであれば、迷わず試してみる価値はあるでしょう。グリーン上に限らず、ティショットで使えば、正しい方向に構えられることでOBを避ける手助けになるでしょうし、ショートパットで利用すればその効果は大いに期待できます。ぜひ、一度試してみてもらいたいですね」
写真/野村知也