「フェース向き」が問題だった!
S子はなぜパットが入らないのか? 今年から松田鈴英プロのパッティングの解析を担当している、エンジョイゴルフの橋本真和さんに、その原因を探ってもらうことにしました。橋本さんは、「キャプト」という最新のパット計測器の使い手。この最新機器を駆使して、ゴルファーのパッティングを丸裸にしてくれちゃうんです。
キャプトが設置された練習グリーンのうえで、3メートルの距離をいつものように5球打ちます。ただ打つだけなので、とってもカンタンですね。これでわかるのは、フェース向き、クラブの軌道、打点、クラブスピードなどなど。計測してみると、フェース軌道はことのほかいい感じ。打点に至ってはほぼスウィートスポットに当たっていることがわかりました。あれ……S子、意外といけてる?
でもおかしいな。軌道も打点もいいのに、なんで入らないのか。橋本プロいわく「問題はフェース向きですね」とのこと。どういうことでしょう?
「打ち出し方向を決めるのは、フェースの向きが80%、フェースの軌道が20%です。つまり、軌道が良くてもフェースの向きが正しくないと、狙ったところには転がりません」と橋本さん。たしかにS子、これまでフェースの向きはあまり考えたことがなく、ストロークが良くなれば入るだろう! と思って練習していました。
「S子さんの5球打った平均を見てみると、平均でフェースが左に1.1度閉じていて、軌道もアウトサイドインなので、平均して打ち出し方向が左に1.7度ズレています。これは、仮にラインもタッチも合っていたとしても、2メートルの距離が入らないことになります。最初の1球は3.5度左に打ち出していて、これだと80センチが入るか、入らないかになります」
ガガガガーン。は、80センチも入らない……って。軌道も打点もそこそこ良くても、肝心のフェース向きが合っていなければパットは入らない。そのことがよくわかりました。
「松田鈴英プロのパッティングのデータを見てください。S子さんと松田プロのデータでもっとも大きく違うのが、まさにフェース向き。松田プロのフェース向きは、平均で左に0.8度(打ち出し方向は0.7度)とほぼスクエア。これは、4メートル先まで入れられるという計算になります」
ひええ〜、さすがプロ。これなら入れごろ外しごろのクラッチパットを沈められるはずですよね。では、S子はどうしてフェースが左を向いてしまうのでしょう?
「計測結果を見ると、S子さんはスウィング中のフェースの開閉が大きいんですね。そして、どうして左に行くかというと、S子さんのストロークは振り子というよりも、テークバックが小さめで、フォローが大きめ。イメージ的にはショットっぽいストロークで、インパクトで上半身が右に傾く傾向があります。その傾きが強いときに、フェースが左を向くようです」
なるほど〜、ショット練習が大好きなS子、パターは振り子のイメージで振っているつもりでしたが、ショットでボールをつかまえるときのような動きを無意識にしていたようですね……。
パッティングで大事なのはストローク! そう信じていましたが、大事なのはインパクトの瞬間にフェースがどこを向いているか。これからはフェース向きを意識して練習してみようと思ったS子なのでした!
取材協力/ヒルズゴルフアカデミー