クラブのために生まれて初めてローンを組んだ
――クラブを初めて買ったのは、いつ頃ですか。
関根勤(以下関根):ハーフ50を切った23歳くらいのときかな。日本橋三越のゴルフ売り場を歩いていたら、今はないけれど「グリーンウェイ」というフィッティングクラブを売っているショップがあったんですよ。そこには「貴方のスウィングをビデオに撮って解析し、貴方にピッタリのクラブを作ります」という触れ込みのオリジナルクラブを作る工房があってね、そのキャッチを見て飛び込んだんですよ。
ショップの鳥かごで30分くらい球を打ったあとに、クラブを申し込んだんですが、今でも覚えている、佐藤さんという人から「関根さん、ちょっと見てください」と言われて見せられたビデオに映る自分のスウィングは、もの凄いオーバースウィングだったんです。佐藤さんから「関根さん。若くて力があってヘッドスピードもまあまああるのに、こんな無駄なスウィングをしていたらせっかくうちのクラブを作っても性能をフルに発揮できないから。クラブができるまでの間、うちにレッスンに来てください」って言われてね。
人気があるので、クラブができ上がるまで2か月かかるんですよ。その2か月の間、週に2回くらい通って、佐藤さんにしごかれていたら、クラブができて回ったときにはハーフ47で回りましたからね。クラブは当時の金額で23万円でしたかから、月賦で買いましたよ。今でいうローンですけど、生まれて初めてローンを組んだんです。
――丸山茂樹プロとラジオで対談された際に「自分らがクラブの恩恵を一番受けている世代なんだ」という話が出ていました。
関根:そうなんですよ。僕らの世代(1953年生まれ)が一番恩恵を受けているんですよ。僕らがゴルフを始めた20代の頃は、ドライバーはパーシモンヘッドにスチールシャフトで、長さが43インチだったんですよ。おまけに糸巻きのスモールボールだから飛ばないんですよね。この組み合わせで今のプロゴルファーが打ったら、現在の道具で打ったときよりも30~40ヤード飛距離が落ちますからね。
当時、僕はまだ20代だったから力もあったので、200ヤードちょっとくらいは飛んでいましたけどね。その後、年齢と共に体力が落ちてくるわけだけど、そうしたらドライバーのヘッドがステンレスとかチタンなんかが出てきてドンドン大型になってきたでしょ。するとシャフトもカーボン製の軽いのが出てきて長尺化されていくでしょ。
それで最終的には460ccの46インチですよ。だから僕は、年々体力は落ちているのにクラブとボールの性能が上がっているから飛距離は落ちていないんですよ。飛距離の平均を取ると、40代、50代まではゆるやかに上がっていましたよね。今は少し落ちましたけどね。
――今はスペックはどんな感じなんですか。
関根:58歳までは60グラム台のSシャフトで打っていたんですよ。それであるときに「アレ、今日調子悪いな」っていうのが3~4ラウンド続いたんですよ。これは体力が落ちたのかなと思って、ショップで測ってもらったら「オーバースペックです」って言われてね。フィッティングして50グラム台のSシャフトがいいと言われ、替えてみると飛距離が戻ったんですよ。
そしてまた3~4年くらいしたら打てなくなってきて、で、今は40グラム台のSR。でもまだ軽いシャフトは30グラム台のもあるし、20グラム台も出ましたからね。だからセグウェイみたいな小型の一人乗り用カートができれば、85歳くらいまではラウンドできるんじゃないかなと思ってますよ。ドライバーに20グラム台のシャフトを付けて、120ヤードくらいをパーンと打っていれば、グランドシニアのティグランドから打てば、100を切れるんじゃないかなと思っているんですけどね。
「2年前にクラブを整理したら350本ありました」(関根)
――でもそうやって年を重ねていくと、後輩芸人の皆さんは、関根さんがオーバースペックになったクラブをお下がりで貰えていいですよね。
関根:そうなんですよ。そうやって僕が体がきつくなって使えなくなったクラブを全部あげてったんです。ただ、「イワイガワ」の岩井ジョニ男だけは僕よりも体力がなかったから、僕の使ったクラブが使えなかったんです。だからジョニ男にだけは、フィッティングに行って新品を買ってあげたんですけどね。
――「どぶろっく」の森慎太郎さんとか。
関根:そうそう。あと、「ずん」のやすに飯尾でしょ。ものまね芸人の花香よしあきにもあげました。「キャイーン」にもあげたかな。
――以前は先代の浅井良二社長からクラブを頂いていたのが、今はその役が関根さんになっているということなんですね。
関根:そうですね。
――概算で今まで、ゴルフクラブにかけた金額ってどれくらいですか。
関根:いや~、それは分からないなぁ。あのね、2年前にクラブを整理したんですよ。そうしたらね350本ありました。
――後輩にかなりあげつつ、それくらいあったということですよね。
関根:そうそう、10セット以上はあげているからね。でも今、まだ5セットくらいは残してあるからね、ドライバーも10本以上はあるし。
――中古ショップ並みですね。
関根:いや、言われましたよ。(中古ショップに売るときも)僕のSUVで6往復しましたから。
ウッド類はミズノ、UTとアイアンはヤマハ。「杉山健三ウェッジ」を愛用
――現在お使いのドライバーはなんですか。
関根:ドライバーは原英莉花が使っているミズノの「ST200X」ですね。シャフトは渋野日向子が去年使っていた「スピーダーエボリューションVI」のSR。重量は50グラム台の「569」じゃなくて、10グラム落ちる40グラム台の「474」のほうなんですけどね。それでボールは河本結がCMをやっていた、キャロウェイの「E・R・Cソフト」です。ですからヘッドは原英莉花、シャフトは渋野日向子、ボールは河本結というね。
――バッグの中身が黄金世代。最強の組み合わせじゃないですか。
関根:そうでしょ。フェアウェイウッドは5番、7番で、これもミズノの「ST200X」ですね。UTは藤田寛之のヤマハの「RMX」の22度と25度の2本を入れてます。本当はもっと下のロフトのUTが欲しいんですけどね。それでアイアンも「RMX120」なんですが、日本シャフトの「NSプロ ゼロス8」という軽めのスチールシャフトを差しています。以前使っていた「NSプロ950」は僕にはちょっと重くなってきたのでね(同じSだとゼロス8は87.5グラムでNSプロ950 は98グラム)。以前は「950は軽いな」なんて言っていたんですけど、いつの間にか重く感じるようになってきたので、それで軽くしたんですけどね。
――ヘッドの選択基準みたいなものはあるんですか。
関根:ヘッドはね、見た感じと、あとは打った感触ですね。今使っている「RMX120」アイアンなんかは、引き締まりとやさしさが融合したヘッドなんですね。学校の先生に例えるなら、授業をサボっていると厳しく「そんなことしていると人生ダメになるわよ」と厳しく言ってくれて、でも具合が悪いときはやさしく看病してくれる保健室の先生という感じなんです。ココ(ポケットキャビティの部分)が保健室なんですよ。スイートスポットが広いんですよねぇ。これがマッスルバックだと怖い先生なんだけど、これは、病気になったときにはやさしいんですよ。その代わり、見た目はピシッとしてて「人生ちゃんとしなさい!」ってたしなめてくれるような、ちょうど中間的な感じがいいんですよね。僕なんか、あまりやさしすぎると自分に甘えちゃうから(笑)。
――ウェッジは何をお使いなんですか。
関根:ウェッジはマジェスティゴルフの「KSウェッジゼロバウンスプレミアム」なんですけどね。このバックフェースに自分の名前(編注:同ウェッジを監修した名匠、杉山健三氏の「健三」の文字が彫られている)を入れる自信がある人が作ったウェッジですよ。ここに普通、名前を入れられないでしょ、ねぇ。僕は基本、開いて打つのが好きなんですけど、このウェッジは抜けが良いんですよ。ゼロバウンスっていうソールの形状だからなのかなぁ。その辺のことはよくは分からないんですけどね。でも構えた感じもイイんですよ。
――バンカーも打ちやすいんですか。
関根:それはもうね、バッグから抜くときに「健三」の文字が見えるわけじゃないですか。これは匠が削ったウェッジなんだって、打つ前にその信頼感を感じますよね。これは大きいですよ。一見、難しそうに見えるんだけど、使うとなんか抜けが良いんですよね。ジョニ男に前に使っていたのをあげたんですけど、「一度使うとやめられないです」って言ってましたからね。52度と58度をあげたんだけど、いろんな中古クラブショップで探し回って、56度と48度も買って、「健三」で全部揃えちゃってましたから。
――それほど良いんですね、
関根:なんかいいんです。あとヘッドが黒っていうのがね、いかにも締まった感じでいいでしょ。フェース面にも斜めに打った傷が入っていて、なんかプロっぽいでしょ。
――本当ですね。パターは何ですか。
関根:パターは最新のオデッセイ「トリプルトラック 2ボール」です。最近、買ったんですよ。僕はこういった、テクノロジー系が好きなんですよ。69のベストスコアを出したときもオデッセイの2ボールパターでしたから。アニカ・ソレンスタムが好きで、彼女が使っていたから。
――新しいパターはどうですか。
関根:ボール(E・R・Cソフト)に描かれた3本のラインとパターの3本のラインを合わせて構えるとスクェアに構えることができるんです。もうこれは見逃せないと思ってね(笑)。やっぱりこういう先端テクノロジーに頼りたいんですよ。ラインの青と赤って色も好きなんですよね。構えて合わせるときに、凄い気持ちが良いんです。ラインの合わせ間違いというミスの原因を一つ減らせるわけですよ。
――アクセサリー類も凝るほうですか。
関根:グローブはね、キャスコ製で、3Dスキャナで手を測定してオーダーして作る特注品なんですよ。僕の手は親指は普通の長さなんだけど、残りの指が少し短いんですよ。だからサイズは一応22なんですけど、他の普通のグローブだと、親指以外の指先がちょっとだけ余るんですよ。それで昔は、カデット(編注:指先の短い人向けのグローブ)を買っていたんだけど、でものキャスコの3Dのオーダーグローブにしてからは、全然指先が余らないからいいんですよ。
【関根勤の14本】
1W:ミズノ ST200X(10.5度)
5W・7W:ヤマハ RMX(17度・20度)
5UT・6UT:ヤマハ RMX(22度・25度)
5I~PW:ヤマハ RMX120
52度・58度:マジェスティゴルフ KSウェッジゼロバウンスプレミアム
PUTTER:オデッセイ トリプルトラックパター2ボール