6月に開催された日本プロドラコン協会(JPDA)主催のドラコン競技「みんなのドラコン」で377ヤードという驚異の飛距離を叩き出した押尾紗樹。身長157センチでトレーニングも「一切していない」という小柄な彼女は果たしてどうやって飛ばしているのか? 本人に聞いてみた。

いかに脱力できるかがポイント

「ジュニアからゴルフをしている選手に多いと思いますが、私はインパクト直前に一度、腰が“スイッチ”するんです。私の場合はインパクト直前で腰を少しだけ右に戻しているんですよ」

通常はバックスウィングで腰を右に回したら、ダウンスウィングからインパクトにかけては左に回し続けるのが一般的なゴルフスウィング。しかしジュニア時代から体が小さく、「すごく飛ばしたかった」という押尾は、インパクト直前に腰を右に戻す(スイッチする)ことでヘッドを走らせる技を身につけていたのだという。

画像: ドラコン競技「みんなのドラコン」で377ヤードと自身最長飛距離377ヤードを更新した押尾紗樹

ドラコン競技「みんなのドラコン」で377ヤードと自身最長飛距離377ヤードを更新した押尾紗樹

これによりヘッドを加速させることが押尾の飛ばしのコツだが、これはタイミングも含めて真似するのが難しい。ただ、押尾いわく我々アマチュアゴルファーでは到底真似できる技ではないが、アマチュアゴルファーでもすぐ取り入れることが出来る飛ばしのコツもあるという。

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「私は飛ばすために脱力を意識しているんですが、そのためにバックスウィングをする前にかかとを踏んでいます。右打ちの方の場合はまず足踏みをするように左かかとを踏んで、次に右かかとを踏む勢いでテークバックするイメージ。体の重心を揺らして助走をつけた状態でスウィングを始められるて、自然と脱力できるんです」

アマチュアの場合、始動の段階で力んでしまうケースが多くあるが、それだと力一杯振っている感覚はあるものの、ヘッドが走らない(加速しない)ので飛ばせない。そのため、脱力をする必要がわるのだが、始動する前に足踏みしているように見えるこの動き(画像A)は押尾にとって脱力状態でバックスウィングに入るための、いわば準備動作ということだ。

画像: 画像A:見にくいが、画像左では左かかとを上げている。その反動で右かかとを上げ、それを踏み込んで始動すると、脱力できるという

画像A:見にくいが、画像左では左かかとを上げている。その反動で右かかとを上げ、それを踏み込んで始動すると、脱力できるという

始動のやり方を変えるだけだから、たしかに採り入れられそう。押尾いわく、試す際はかかとを「上げる」のではなく、あくまでも「踏む」ことが大事なのだという。

「かかとを上げるのではなく、かかとを踏むことで体の重心が(左右に)ズレるんです。始動前にただ足踏みをしているだけでは意味がなくて、あくまでも重心をズラすことが目的です。あとは、なるべく均等に踏み込みたいので、左右同じ分だけ動くということを意識して、試してみてください」

左かかとを踏むことで体の重心はわずかに左サイドにズレる。そして、その反動を使って右かかとを踏めば今度は右サイドにズレる。そのズレた勢いでクラブを振り上げれば、自ずと脱力した状態でテークバックできて、ヘッドを加速させる準備が整うということだ。

押尾の場合、ドラコン競技に出場するときは画像のように大きくかかとを踏むという押尾だが、通常のラウンドでグリーンを狙うアイアンショットでも靴の中でかかとを踏んでいるというから、飛ばしのためだけのノウハウではなく、ナイスショットを生む裏技と言えそう。

左、右とかかとを踏むだけというシンプルなこのやり方。一度試してみてはどうだろうか。

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