トーマスの勝利を確信して祝福メール送信。機上の人となったが……
ザ・メモリアルトーナメントを主催する立場として大会前の記者会見に登場したニクラス。
「5カ月ぶり? タイガーにとってそれはハンディにはならんよ。私も現役初期のころは9月までしかプレーせず1月まで休んだもの。で、復帰戦で3勝を挙げている。競技をこれだけ離れているんだから彼のゴルフが最高に研ぎ澄まされているとは思わないが、でもタイガーはタイガー。十分良いプレーをしてくれるだろう」とまずは自らの経験と照らし合わせタイガーの勝機について言及した帝王。
そして御大が語り出したのが前週メモリアルと同じミュアフィールドビレッジ(ニクラス設計)で開催されたワークデイ・チャリティオープンについて。

ザ・メモリアルトーナメントのホスト役を務めるジャック・ニクラスが語った失敗談とは?(写真は2019年のマスターズ 撮影/姉崎正)
フロリダの自宅から会場(オハイオ)まで「優勝者におめでとうというため午後6時の到着を目指して2時に(プライベートジェットで)飛び立った。ちょうど離陸前にプレーオフ1ホール目でジャスティン・トーマスが15メートルのバーディパットをねじ込んだんだ。凄かったね。これ以上ない完璧なパットだった」
そこでニクラスは結果を待たずトーマスの勝利を確信して本人にメールを送った。「素晴らしいパットだった。信じられないくらい素晴らしい。これで君の2週連続優勝の可能性が開けたね」
離陸。Wi-Fiは使えない。その間コースでは予想外の展開が。コリン・モリカワが7.5メートルの複雑なラインを入れ返したのだ。そしてプレーオフ3ホール目、ついに力尽きたトーマスが惜敗。

ワークデイ・チャリティオープンでプレーオフの末、惜しくも勝利に届かなかったジャスティン・トーマス。今大会でリベンジなるか!?(写真は2020年のWGCメキシコ選手権 撮影/姉崎正)
上空1万フィートに到達しWi-Fiが使えるようになって展開をチェックしたニクラスは驚いた。優勝はモリカワではないか!
そこで再びトーマスに宛てて送ったメールが「ウップス(しまった)、早とちりだった!」。「すぐに彼から返信が来たよ。“大丈夫です。気にしないで”とね。いい男だよ。それにしてもモリカワのスウィングは素晴らしいね。それにトーマスにあれだけのロングパットを決められながら入れ返すのはさすが。ああいうことはなかなかできるもんじゃない」
こちらが思わずクスッと笑ってしまうようなお話。いつも思うが見かけによらずニクラスの声は高い(失礼)。