25歳のジョン・ラームがロリー・マキロイを抜き史上3番目の若さで世界ランク1位の座に上り詰めた。

世界アマの会場でスペインのコーチは言った。「取材しておいたほうがいい」

「あの子が将来の世界ナンバー1だよ。取材しておいたほうがいい」。

軽井沢72を舞台に行われた世界アマチュアゴルフチーム選手権、スペインチームを率いたコーチに耳打ちされてから6年。“あの子”ことジョン・ラームがフィールドの厚いメモリアルトーナメントで優勝を飾りスペイン勢としてはセベ・バレステロス以来の頂点に輝いた。

「勝てば世界ナンバー1? モチベーションとして十分すぎる」といってスタートした最終日。一時後続に8打差をつける圧勝ペースだったがサンデーバック9に入ると歯車が微妙に狂い始め10番でボギー、11番でダブルボギーを叩き雲行きが怪しくなる。途中雷雨による中断もあり難しい展開だったが最後は43歳のライアン・パーマーに3打差をつけ先頭でゴールを駆け抜けた。

画像: 史上3番目の若さで世界ランク1位と輝いたジョン・ラーム(写真は2019年の全米オープン 撮影/有原裕晶)

史上3番目の若さで世界ランク1位と輝いたジョン・ラーム(写真は2019年の全米オープン 撮影/有原裕晶)

大会ホストのジャック・ニクラスに18番グリーン脇で出迎えられグータッチを交わしたラームは感無量の体。インタビューではときおり溢れ出る涙を堪えながらツアー通算4勝目、世界10勝目を喜んだ。

ラームが世界ナンバー1を目指したのは彼がまだ13歳か14歳の頃。スペイン時代のコーチ、エドアルド・セレス氏に当時将来の夢を聞かれ「世界のベストプレーヤーになる」と答えたのがまるで昨日のことのように甦る。「その日以来目標に向かって突き進み、すべてをゴルフに捧げてきた。10年ちょっとで夢を実現できたなんて信じられない!」

この勝利が特別な理由はほかにもある。「コロナではないけれどこのパンデミックのなか、家族を2人亡くしたんだ。ひとりが母方の祖母、もうひとりが母の叔母にあたる人。その悲しみを乗り越え家族に捧げる勝利を挙げたられてうれしい」
 
最終日の16番パー3でグリーン奥の深いラフからチップインバーディを奪うミラクルを起こしたが、のちの判定で素振りの風圧によりボールが動いたことが判明。2打罰を科されたが「(亡くなった)2人のことを思えばペナルティなどなんでもなかった。すんなり受け入れることができた。勝敗に影響はなかったしね。大事なのは3日目に生涯最高のラウンドができたこと。そして最終日にあのチップを決められたこと。いい記憶を持ち続けたい」

かつて同じような場面(16番)でタイガーがチップインを決めギャラリーを熱狂させた。「そのイメージが過ぎった」というラームはこれから新世界ナンバー1としてタイガーや母国のカリスマ・セベのお株を奪うようなエキサイティングなプレーを披露していくつもりだ。

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