残り45ヤードのバンカーの淵からのマネジメント
ボールがバンカーのすぐわきにあり、スタンスをとろうと思えばバンカー内に入るしかないという状況。そのため、ある意味では極端なつま先上がりともいえる状況だ。
ピンまでの距離は45ヤード。もちろん、あなたがレフティゴルファーならばなんの問題もないだろう。しかし、右打ちの場合はどの番手でどう打つか、頭の使いどころ。
というわけでここで問題。この状況から、どんなクラブでどこを狙って打つことを選択するのがもっとも怪我が少ないだろうか? 右打ちを前提のクイズだが左打ちの人はバンカーの左渕にボールがあると仮定して考えてもらいたい。
残り45ヤードの体はバンカー、ボールは芝の上の状況からどう打つ?
正解は「PWを持ってピンの右を狙って打つ」。
なぜこの選択が正解なのか。出題したプロゴルファー・中村修が重視したのは「つま先上りは左に飛びやすい」ことを利用することだという。
「右打ちの人が左打ちをするのは、かなり難しいです。なので普通に打つわけですが、この状況は当てるのさえ難しいので、短いクラブを持ちたいところ。SWだとロフトがあり過ぎて左へ飛びやすいため、ここはPWが正解。左に飛びやすいことを考慮して、ピンの右狙いがもっとも確率が高い方法と言えます。チョン出しは、ちょっと安全策過ぎるので除外です」(中村)
この状況はたとえ持つのがPWでも難易度は高いが、「つま先上りのライからのショットの応用で簡単に打てます」と中村はいう。
「ポイントは二つあります。つま先上りのライではクラブのライ角とロフトの関係上フェースの向きはターゲットよりも左に向くため左に飛びやすくなります。もう一つは、つま先上りでは高い位置にあるボールに合わせようとダウンで手元が浮き、そのせいでヘッドが下がりダフリやすくなります。この二つの対策をすればそれほど難しくないと思います」(中村)
つま先上りのライから打つポイントは、アドレスでの手の高さにある。
「ダフリ対策として少し短く持ってハンドアップにします。ボールのある高さに合わせて手元を上げて構えることで前傾角は浅くなり、手元の浮く度合いが少なくなるため、簡単にボールに当たりやすくなります。あとは左に飛ぶのを考慮して少し右を狙うだけ。スタンスまで右に向けてしまうと体の回転が止まって左に引っかかることがあるのでフェースの向きをターゲットに合わせます」(中村)
スタンスはバンカー内、ボールはバンカー外という状況はなさそうで意外とある。「超つま先上がり状態だ」ということを認識して、大きい番手・ハンドアップ・右を向くの3点を忘れずに。
写真/姉崎正 撮影協力/佐倉カントリー倶楽部