週末にテレビ放送された「石川遼×渋野日向子 ドリームマッチ for CHARITY ~みんなで笑顔に!~」で随所に見せ場を作った石川遼。「JGTO共催 ゴルフパートナーエキシビジョントーナメント」で撮影した最新スウィングをもとに、プロゴルファー・中村修がそのスウィングを解説。

力強さが増して体を揺らさなくなった

国内男子ツアーは中断期間が続いています。この間トレーニングに時間を割いているという石川遼選手ですが、先だってのゴルフパートナーエキシビショントーナメント、そしてテレビマッチでのスウィングを見ると、その効果が確実に表れているように感じました。

右への移動をおさえたテークバックから、トップに届く直前にわずかにお尻が左へ移動し左サイドを踏み込んでいくことで切り返していく石川選手ですが、以前よりもややフラットな位置(画像A左)にトップがおさまっていて、ダウンスウィングでは右肩よりも低いシャローな位置にシャフトが下りてきています。

体を揺らして反動を得てクラブを振るのではなく、体幹や地面を踏み込む力を使ってクラブをコントロールしている印象を強く持ちました。

画像: 画像A:ややフラットな位置からシャロ―に下りてくるダウンスウィング(写真はゴルフパートナーエキシビショントーナメント)

画像A:ややフラットな位置からシャロ―に下りてくるダウンスウィング(写真はゴルフパートナーエキシビショントーナメント)

画像Bの左を見るとシャフトが体に巻き付いているように見えます。このとき、切り返しで踏み込んだ左足で地面をつかむようにして回転力を得ることで、手元が低く下りてきています。そして、そこから左腰を後ろに引くようにして体を回転させることでインパクトゾーンでクラブを加速させていきます。

地面を踏みしめた足裏の力を大きな回転力に変換するためには脚力、腰回りの筋力、そして体幹の筋力が必要とされます。クラブを腕や手先ではなく体の大きな筋肉を使って振っているように感じたのは、これらの筋力がしっかり鍛えられてきた効果だと考えます。

画像: 画像B:左足で地面をつかむように踏み込んで大きな回転に変換することでシャフトが体に巻き付くようなダウンスウィングになる(左)(写真はゴルフパートナーエキシビショントーナメント)

画像B:左足で地面をつかむように踏み込んで大きな回転に変換することでシャフトが体に巻き付くようなダウンスウィングになる(左)(写真はゴルフパートナーエキシビショントーナメント)

石川遼選手の場合、15歳でツアー最年少優勝し18歳で最年少賞金王、21歳で10勝を挙げるなど年齢的にハードな筋力トレーニングを必要としない時期に大活躍したことが、その後の体作りに大きく影響したと考えられます。

2013年から挑戦した米ツアー参戦では腰痛にに悩まされ撤退、その後18年から国内ツアーに復帰しますが、19年には開幕戦の欠場や試合途中での棄権と辛酸をなめます。

しかし、その後トレーニングに時間を割き3勝を挙げ復活しました。アプローチやパッティングなど繊細な動きも必要なゴルフスウィングにおいて、ただ体を大きくするだけのトレーニングでは感覚も鈍ります。石川選手の場合、そこまで体は大きくなってはいませんが、筋力のボトムアップがされたことで、繊細なフィーリングを残しながら、スウィングと飛距離のバランスもマッチしてきているように見えます。ツアー中断期間にしっかり振ってもブレない体を手に入れつつあるということは非常に大きいと思います。

外国人選手の入国規制などの理由もあり、国内開幕はいまだ未定の国内男子ツアーですが、再開したときにしっかりダッシュを決められるだけの準備は整えていると見受けられます。次に姿を見せてくれるときにはどんなプレーを見せてくれるのか楽しみです。

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