調整機能付きのスリーブが普及したことで、予備のシャフトをキャディバッグに備えるゴルファーを多く見かけるようになった。新しいシャフトが発売されたり、その日の調子によっても手軽にシャフト交換できることはゴルファーにとって大きなメリットになっている。
気になったシャフトがあれば、ゴルフ工房でスリーブを装着してもらうのが主なパターンになるが、「シャフトとスリーブだけ持って来るお客さんが多いんですが、実はぜひヘッドもご持参いただきたいんです」と話すのは、千葉県佐倉市にあるゴルフ工房ON&OFFのクラフトマン桑原信明さん。シャフトとスリーブだけだと、一体何が問題なのだろうか?
「シャフトとスリーブだけだと、全体の重量やバランス、長さなど細かいスペックが計測できないということが理由のひとつ。もうひとつ、ヘッドの“すわり”に合わせてシャフトのコスメの向きを合わせることもできません」(桑原信明さん)
ヘッドをポン、と置いたときにほんのわずかだが、やや開いたり、閉じたりといった個体差が生じる。その個体差に合わせてシャフトの装着角度を調整し、構えやすく違和感なく仕上げるのがクラフトマンの腕の見せ所……なのだが、ヘッドがなくてはやりようがないわけだ。
依頼するゴルファーからするとシャフトにスリーブさえ装着してくれれば簡単にシャフト交換が楽しめると思いがちだが、クラフトマンの立場からすると、それだと十分なサービスができないという。
「あくまで、ヘッド、シャフト、グリップが一体となって1本のクラブ。ヘッド重量や長さによってシャフトのしなり度合いも変わりますし、グリップの重量も大切です。そもそもヘッドを装着しなければ長さも測れませんので長さの指定もできなくなってしまいます」(桑原信明さん)
中古ショップやオークションサイトでスリーブ付きのシャフトを手に入れられるようになってきたことで、スリーブ交換の依頼も増えているという。せっかく新しいシャフトを試すのなら自分に合わせた長さや、バランスに合わせたいもの。工房でシャフトにスリーブを装着してもらう際は、ヘッドを持参することをお忘れなく。