名キャディとタッグを組み、米女子ツアー自己最高の4位に
渡米前自らの決意をYouTubeチャンネルで歌にした河本。シンガーソングライター、レイチェル・プラッテンの楽曲で3年前に世界中でヒットした「ファイトソング」を驚くような美声で披露し米ツアーでも評判を呼んだ。負けない気持ちを表現した闘いの歌は河本の心の強さを映すようだ。
迎えた再開初戦のLPGAドライブオン選手権では初日8位タイにつけると2日目4位タイに浮上。最終日は出だし2ホール連続バーディで優勝も視野に入ったがバック9で伸ばせず単独4位。それでも優勝経験のある野村敏京らが予選すら突破できなかった大会で堂々たるプレー。今季4戦で2度目のトップ10入りは立派である。
再開初戦、河本の傍には頼もしい助っ人がいた。アニカ・ソレンスタムやポーラ・クリーマーのバッグを担ぎ彼女たちの数多くの優勝をアシストしてきた名物キャディ、コリン・カン氏だ。
「彼がすべてやるべきことを教えてくれて、さまざまな選択肢を与えてくれました。彼といるととても心地よくて新しい自分のゴルフを発見できたような気がします」とカン氏について語った河本。
選手にとってロープのなかではキャディが唯一の味方。信頼できるパートナーを得て、経験豊富なキャディのいうことに素直に耳を傾け、それをプレーで表現したのだから並みの21歳ではない。
そういえばテレビ解説の中野晶プロがこんなことをいっていた。「黄金世代が昨年台頭しましたけれどそのきっかけを作ったのが私は河本さんだと思っています」。
勝みなみや畑岡奈紗がアマチュアでプロの大会に優勝した時点ですでに黄金世代は注目されていたが、彼女たちのポジションが決定的になったのが昨シーズン。そして河本は開幕4戦目のアクサレディスで初優勝を飾り流れをつくった。
「最後まで攻め抜くゴルフ。それを貫くことで優勝の道が開けるというのを同世代の人たちが目の当たりにし気づいたのです。攻めなければ勝てない、と」(中野プロ)
その一戦をきっかけに同じ年の渋野日向子、原英莉花、小祝さくららが次々と優勝をさらい、さらには黄金世代より若いプラチナ世代の活躍を促す引き金になったというのが中野プロの見立てだ。
ゴルフ同様、先が見えないコロナの時代に果敢に海外に打って出る攻めの姿勢は河本ならでは。海の向こうから朗報を待ちたい。