210ヤードの“乗せるのも難しい”パー3で奇跡は起きた
ホールインワンだけでもアマチュアゴルファーにとってみれば一生に一度の大事件だが、大阪府にある関空クラシックゴルフ倶楽部で2015年4月26日に開催されたメンバー研修会競技で、2者連続ホールインワンという奇跡が起きた。
達成したのは日本最高峰のアマチュア競技「日本アマ」出場経験もあるハンディキャップ+3のトップアマ・左近哲也氏(現在55歳)と、当時ハンディキャップ5(現在は4)のシングルプレーヤー・福森昌弘氏(現在56歳)のふたり。アマチュアゴルファーのなかでもトップクラスの腕前を持つゴルファーだが、それにしても2者連続エースは奇跡のような話だろう。
そんな奇跡の舞台となったのは「関空クラシックゴルフ倶楽部」の9番ホール、201ヤードのパー3。
同コースのメンバー氏曰く、打ち上げのショートホールでティイングエリアからグリーン面は見えないため、乗せることさえ難しい屈指の難ホール。当日のピンは右手前に切ってあり、左から軽いアゲンスト。想像するだけでも難しいホールだ。
そんなホールで左近氏は3番ユーティリティーを手に取り、軽いドローを打った。すると……「ガチャン!」とカップインの金属音が鳴り響く。
次に聞こえてきたのは、前の組からの大歓声だった。ブラインドホールであるため、前の組のボールがグリーンに乗ったら、後続組に合図を送り、いわゆる“打たせる”のが通例。そのため、前の組のプレーヤーたちがその瞬間をしっかりと目撃していたというわけだ。
そして、この物語はここで完結しない。興奮冷めやらぬ中、福森氏が3番ウッドで軽いフェードを打つと、ワンピン手前に落ちたボールはそのままカップに吸い寄せられるように転がり……まさかのカップイン! 再び大歓声が響き渡ることになる。
前の組でプレーしていた人は「腰が砕けた」と語ったというが、ゴルフ人生で二度は見られない奇跡であるのは間違いないだろう。
左近氏は4回目、福森氏も3回目とそれぞれホールインワンを複数回経験したことのある実力者だが、2者連続達成したのは当たり前だがこれが初めて。こんな奇跡が起きたなら盛大にパーティーをしたいところだが、福森氏は「当時、積立式の保険が終了し、掛捨て式への切換え前でたまたま保険未加入状態(笑) 自腹で前の組で見ていた4人にボールを各1箱進呈しました」とのこと。
一方、左近氏はゴルファー保険に加入していたため、当日同組のプレー費全額を負担。後日改めて自身が経営する焼肉店「バイキング左近」にて仲間20名ほどを集め、自腹でパーティを開催したという。ちなみにその日のスコアは左近氏は34・38の72。福森氏は44・41の85だったそうだ。
ある調査によれば、2者連続でホールインワンが出る確率は1700万分の1とも言われる。極めて珍しいからこそこうして記事になるわけだが、実は関東にも同じ奇跡を達成した夫妻がいるという。
2者連続ホールインワンという奇跡の物語、明日は【後編】をお送りしよう。請うご期待!