会場になる「ルネッサンスクラブ」は2008年開場の新しいコースで、全英オープンが16回開催された名門ミュアフィールドの隣に位置しています。リンクスコースではあるものの、起伏や背の高い木もあり、内陸側に作られたアウトコースと海岸沿いに作られるインコースでは大きく印象が異なるようです。
隣接するホールとの間は深いラフでセパレートされていて風が吹き抜けるホールも多く、深いポットバンカーに向かって傾斜するランの出るフェアウェイなど、日本では経験できない状況が、日本選手を苦しめる要因になっています。
3年前の全英オープン(カーヌスティGL開催)での取材とセントアンドリュースでのラウンド経験から、古(いにしえ)のゴルフは、現在のように空中にボールを飛ばすのではなく、当時のクラブとボールの特性もあってほぼ転がすゲームであったと認識しました。
技術の優劣をはっきりさせるため地面に起伏をつけ、低くなったその先にはポットバンカーを作ったんだとセントアンドリュースのキャディは教えてくれました。会場となる「ルネッサンスクラブ」はそのゴルフの発祥とされるリンクスの思想と現代のゴルフを融合させたコースで全長6453ヤード、パー71のセッティングで開催されます。
会見で渋野日向子選手は「深いラフと、キャリーでグリーンに乗せたときに結構転がってしまう。なかなかスピンがかからないのでセカンドショットの距離感もかなり大事。バンカーに吸い込まれてしまいそうな傾斜なので、バンカーのほうも練習はしましたがかなり厳しいと思いました」と警戒感を語りました。
練習ラウンドではグリーン周りのバンカーとアプローチを中心に念入りに練習したようです。全英女子オープンの前哨戦的な意味合いもあり、リンクスや芝、地面の硬さやバンカーに慣れるためには絶好のチャンスになるのではないでしょうか。
「渋野日向子は試合で学び成長していくタイプ」だという青木翔コーチの言葉の通り、このコースから学び、翌週の全英女子オープンに向けていい準備ができると思います。
リンクスコースに向けて練習して来たことを質問すると「バンカーの練習でキャディバッグを自分の後ろに置いて、あごが近くにあることを想定した練習をしたり、硬めの薄いライから練習したりしてきました」との答え。青木コーチとの1年ぶりのタッグについては「去年(優勝したAIG全英女子オープン)と同じような雰囲気でできればいなという思いはありますが、昨年よりコースが難しいので、頭を使って使いまくって、そこは青木コーチにも考えてもらって、私もちゃんと考えながらしっかりやっていけたらいいとも思います」と答えていました。
「出るからにはしっかり予選通過して上位争いはしたい思いはありますが、初めてのことが多いのでその中でも自分のプレーができたら」と語ってくれた渋野選手。
彼女にとって初体験のリンクスコースでの試合となります。体調もゴルフの調子も悪くないという中、渋野日向子と青木翔コーチ兼キャディのどんな姿が見られるでしょうか。日本時間18時21分のスタートを楽しみに待ちたいと思います。