AIか、人かをゴルファーが選ぶ時代が近づいている?
ゴルフスウィング分析アプリ「18birdies」をレッスンに取り入れているというインストラクター・北野達郎は言う。
「このアプリは、スウィングを撮影すると、AIが所要時間1分程度で両肩、ひじ、手首、背骨、股関節、ひざ、足首のポジションを解析し、問題があるポジションを緑色→赤色に変化して指摘してくれます。体の動きがわかりやすいですし、もし欠点が『上体の起き上がり』なら、お尻を壁に付けた
ままシャドースウィングをするドリルなど、自宅でも出来る練習ドリルを教えてくれます」
問題点を見つけ出し、それを改善するための提案を行う……まさしく従来のインストラクターが一般ゴルファーに行ってくれるレッスンそのものだ。ただ、北野は、「では今後コーチによる対面式のレッスンは必要なくなるか?」といえば、答えはノーだと言う。
「たとえばスウィングの『動き』は動作解析で見えても、『力』はAI動作解析では現状見えないですし、AIは膨大なスウィングデータの平均値に基づいた指導をしますが、コーチは生徒様に対して、その人自身の個性や体の特徴に応じた適正な指導を行うので、目に見える動きや平均値だけに留まらない、よりパーソナライズされたレッスンを行うことができます。まだまだ対面式のレッスンのほうが効果的だと思います」
その上で、今後のレッスンは大きく二極化していくのでは? と分析する。
「今後は、自分で手軽にスマホでスウィングチェックしたい人と、よりパーソナライズされたオンリーワンのレッスンを受けたい人で、ゴルフ上達への需要の二極化が進むと思います。ゴルフ上達に対する目標、ライフスタイル、予算、性格などを考慮して、どちらが合うかで選ベるようになるのではないでしょうか」(北野)
スマホにアプリをインストールすれば、AIがスウィングを診断してくれ、改善案を教えてくれる。それは極めて魅力的で、一昔前なら考えられないような技術だ。しかし、一方でその日の体調や気分によっても生じるスウィングの誤差までを加味して、週末のゴルフに向けて、あるいは夢のベストスコア更新に向けて最適な提案をしてくれるのは、やはり人間のコーチによるパーソナルレッスンとなるだろう。
AIか、人か。ゴルファーにとっては、それを「選べる」こと自体がメリットと言えそうだ。