全英女子オープン(AIGオープン)でリンクスコースの過酷な条件の中、日本勢最上位の6位でフィニッシュした上田桃子。強風の中、冴えわたったショットをプロゴルファー・中村修が解説。

初日、2日目の強風と雨を耐え、似たようなコンディションの3日目に3アンダー、風がおさまった最終日には4アンダーでプレーし6位までスコアボードを駆け上がりました。最終日はバーディチャンスを量産しショット力の高さを改めて見せてくれました。

画像: 全英女子オープン(AIGオープン)を日本勢最上位の6位で終えた上田桃子(写真/Getty Images)

全英女子オープン(AIGオープン)を日本勢最上位の6位で終えた上田桃子(写真/Getty Images)

会見では驚くことに現地に行ってから身につけた技術があったと話してくれました。

「後半はユーティリティを使うような長い距離(のセカンドショット)が多かったので、ビタッとつくチャンスは少なかったのですが、球をねじらずに球をおさえながらコントロールできていた。そこは正直こっち(全英)に来てから身につけられた技術だなと思いました」(上田)

風が強い中でボールをおさえようとすると、どうしても上半身に力が入り入射角が鋭角になり過ぎたりインパクトが強くなりすぎてスピン量が増え、逆に風の影響を受ける弾道になってしまいます。それを防ぎ弾道をコントロールする秘訣は、スウィングの土台になっている下半身の使い方にあります。改めて、上田選手のスウィングをじっくり見てみましょう。

まずは画像Aをご覧ください。左写真のアドレスを見ると、オーソドックスなスクェアグリップで握り、スタンスは肩幅が内側に入るくらいの広さで構えています。正面からの画像ではわかりにくいのですが、股関節と骨盤にしっかりと角度がつけられていて、テークバックではこの角度を保ちながらトップへと向かっていきます。

そうすることで、重量のある頭が前方にある状態とのバランスを安定して保っています。右足の内側やつま先、かかとが浮くことなくしっかりと地面を踏みしめています。

画像: 画像A オーソドックスなスクェアグリップから右の股関節の角度を保ちながら深いトップへと向かう(写真は中京テレビ・ブリヂストンレディスオープン2019 写真/中野義昌)

画像A オーソドックスなスクェアグリップから右の股関節の角度を保ちながら深いトップへと向かう(写真は中京テレビ・ブリヂストンレディスオープン2019 写真/中野義昌)

続いては画像B。トップから左へ踏み込んで切り返しますが、ここでも股関節の角度は保たれています。そこから両足の力を使って腰を回転させ腹筋をねじり、上半身へと力を伝えていきます。

腰が伸びて前に出てしまい前傾を保てない人は、この股関節の角度を保つ意識を持って切り返すことで、しっかりとした回転力を得ることができます。

画像: 画像B 股関節の角度を保って切り返すことで両足のちからを使って腰を回転させ上半身へとその力を伝える(写真は中京テレビ・ブリヂストンレディスオープン2019 写真/中野義昌)

画像B 股関節の角度を保って切り返すことで両足のちからを使って腰を回転させ上半身へとその力を伝える(写真は中京テレビ・ブリヂストンレディスオープン2019 写真/中野義昌)

股関節の角度を保ちながら両足の力を使って回転力へと変換することが、上田桃子選手のスウィングの土台でありパワーの源になっています。

そして、そのことが風の中でもテンポを崩さず、手先に頼らず打てることにつながっていきます。距離を調整しながら打つショットでも安定した軌道は必要ですが、それは手先では作れません。足を使って体を回し、その回転に腕がついてくることで正確なインパクトを実現し、大きなフォローにもつながります。また、フェースの開閉を少なくすることで方向性を確保していることがわかります。

画像: 画像C 下半身で作った回転力を上半身へと伝わり大きなフォローへとつながっていく(写真は中京テレビ・ブリヂストンレディスオープン2019 写真/中野義昌)

画像C 下半身で作った回転力を上半身へと伝わり大きなフォローへとつながっていく(写真は中京テレビ・ブリヂストンレディスオープン2019 写真/中野義昌)

全英ではキャディも務めた辻村明志コーチと作り上げた足を使って打つスウィング。強風の中での全英女子オープン(AIGオープン)でUTなど長いクラブでも抑えたコントロールショットを打つことができたのは、徹底的に鍛え上げた下半身と、元々のスウィングの土台の良さがあったからこそでしょう。

この全英で身につけた技術は、きっと国内ツアーでも活きるはず。新たな武器を手に入れた上田桃子選手の国内ツアー復帰戦を楽しみ待ちます。

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