全英女子オープンで予選落ちと悔しい結果になった渋野日向子。その後、日本には帰らず10月まで米ツアーに参戦を予定している。アメリカを舞台にどんなプレーを見せてくれるのか。また、今の課題とはなにか? プロゴルファー・中村修が解説する。

次戦はメジャー。エースキャディと二人三脚でアメリカ転戦

スコットランドでは慣れないリンクスコースの攻略に苦しみ「ASIスコットランド女子オープン」と「全英女子オープン(AIGオープン)」の2戦連続での予選落ちを喫した渋野日向子選手。

ディフェンディング王者として臨んだ全英女子では、予選二日間の強風の中でフェアウェイキープ率75%とティショットは復調を感じさせましたが、パーオン率は50%とアイアンショットの不調からスコアをまとめることができませんでした。

調子の良かった河本結選手でも初めてのリンクスコースの難コンディションの中で予選落ちに終わっていることから、仮に調子がよかったとしても、どれだけできたのかの判断は難しいところです。海外での経験値という観点からすれば、予選を通過した上田桃子、畑岡奈紗、野村敏京とは比べるべくもないこともまた、明らかです。

しかし、この2試合で課題は明確になりました。それは会見でも話していた「練習でできていることが試合でできない」ことです。

「どこか怖がっているのか、しっかり体を止めずに回すことができれば真っすぐに飛ぶのに、手元が浮いたり、ドライバーのように思い切り振れない。試合になると思ってもいない動きをしてしまう」と話しました。

画像: 「全英女子オープン(AIGオープン)」で予選落ちしたあと渡米し、1か月半の期間米ツアーに参戦する渋野日向子(写真/Getty Images)

「全英女子オープン(AIGオープン)」で予選落ちしたあと渡米し、1か月半の期間米ツアーに参戦する渋野日向子(写真/Getty Images)

全英でキャディを務めた青木翔コーチは帰国しましたので、米国ではエースキャディの定由早織さんの2人で転戦することになります。まずは、次戦となる9月10日開幕のメジャー第2戦「ANAインスピレーション」に向けて、どのような時間を過ごすことができるかということになります。

昨年、ルーキーとして参戦した国内ツアーのことを思い出してみると、初戦の「PRGRレディス」でいきなり鈴木愛選手と優勝争いをし、6位と結果を出しますが、翌週から2戦連続で予選落ち。「KKT杯バンテリンレディスオープン」では初日81の最下位から2日目66で回り50位タイでぎりぎり予選通過し、最終日は20位タイでフィニッシュなんてこともありました。

そして参戦9戦目の「ワールドレディスサロンパスカップ」で初優勝を挙げると、以降は皆さんご存知の通り海外メジャーを含め5勝を挙げる大活躍をしたわけですが、この前半の成績を見てもトライアンドエラーを繰り返し、成長したことが見て取れます。

渋野選手だけではなく、ツアープレーヤーは試合の中で成長できることがトッププレーヤーになるための大きな条件になります。全英女子を6位で終えたベテランの上田桃子選手ですら、試合中に身につけた技術があったといいます。

「練習でできていることが試合でできない」状態から抜け出すためには、毎週のように試合に出場し感覚をつかんでいくことが、オフの間に新たな技術を習得すると決意し、それを実行した今の渋野選手に一番必要なことだと思います。

それがどの試合になるかわかりませんが、きっと遠からず「練習でできること」で自信を持ってピンを攻める姿が見られると私は思います。

画像: 渡米中は青木翔コーチは帯同しない。そのことで自分で考える時間も増える(写真/Getty Images)

渡米中は青木翔コーチは帯同しない。そのことで自分で考える時間も増える(写真/Getty Images)

青木コーチが帯同していないことで、自分で考える時間が増えることも、いい方向に進むような気がします。コーチの存在は大きく心強いものですが、ゴルフに限らず個人プレーのスポーツでは「代打」は許されていません。自分で決断し、自分で打ち、その結果の批判も称賛もすべて自分で負わなければなりません。全英女子では一人で渡英しキャディもつけずにセルフプレーで上位で戦った米国人選手もいました。そういう意味では自立していることも重要です。

今は結果の出ないもどかしい時期を過ごしているとは思います。しかし、西海岸から東海岸へと転戦する1か月半の米ツアー参戦で再び大きく成長する姿を必ず見せてくれると思います。

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