ブリヂストンにプロギア……他にも発表がありそうな気配!?
申し合わせているわけではないだろうが、ゴルフクラブには年に二回、年明け前後と秋口で新製品ラッシュがある。今年も秋の新製品の季節がやってきたが、コロナ禍で市場が萎縮する中、クラブメーカーも発表や発売日のやりくりに苦労しているようだ。
一方、壊滅的な打撃を受けると思われていたクラブの売れ行きだが、意外にも踏ん張っているメーカーが多い。コロナ被害が大きい他国に比べても日本市場は堅調だという。これはコロナ自粛に伴う巣ごもり消費が一因と思われるが、ゴルファーの消費マインドを刺激するクラブが、市場に増えているとも言えるだろう。
そこで今回は2020年秋、注目の新製品を紹介しよう。まずは、先んじて7月初頭に発表されたプロギア「RS5」シリーズだ。“4点集中設計”というコンセプトが特徴で、最大たわみ点、重心点(SS)、最高CT点、フェースセンターの4点を一致させたという。同じような場所にありそうなこの4箇所だが、実際にはほとんどのドライバーで大きく乖離している。
4点のうち、最高CT値の根拠となるCT値とは、反発係数を表す数値だ。
2016年に発売された同社の「RS-F」ドライバーが、R&Aから反発係数オーバーの指摘を受け、全数交換になったのは記憶に新しい。同社は、当時も精密に反発の検査を行っていたのだが、チェックを行っていなかったフェーストウ寄りのポイントでの反発係数の高さが問題になったのだという噂がある。“4点集中設計”は、その経験を逆に生かして、新たに生まれたテクノロジーと言えるだろう。実際、初速性能が高く、この領域でのアドバンテージを感じる快作になっている。
前評判が高いのは、ブリヂストンの「ツアーB X」シリーズだ。タイガー・ウッズの使用する「B」マークのボールが好調だけに、今回はクラブも赤黒のコーポレートカラーと「B」をフィーチャーしたデザインになった。すでに契約プロが何人も実戦に投入しているドライバーもさることながら、アスリート感あふれるアイアンも注目作だ。
9月2日に発表され、にわかに注目されるのはダンロップの「ZX」シリーズ。こちらはBMW選手権で松山英樹が「ZX5」ドライバーを使用したのが、大きな話題になっている。松山が同社のドライバーを使うのは、4年ぶりのこと。看板プロの劇的なドライバー使用にギアマニアも大いに湧いている。よりアスリート向けの「ZX7」の出来もよく、この秋最大の注目作と言えそうだ。※松山が使用するのはプロトタイプ。
前作から一年半という、短いサイクルでの発売になったのがピン「G425」シリーズだ。前作の「G410」はシブコ効果にも後押しされて、同社史上、空前のヒット作となった。昨年はもちろん、2年目となった今年に入ってからも大いに売れている中での新作発表は、まさに異例で、ややもったいない印象もある。
ちなみに「G425」は、日本をはじめとするアジア圏やオセアニアで先行発売となる。欧米での発売はおそらく年明けになるだろう。いつもは世界同時発売となるのが同社の戦略だが、新型コロナウィルスの影響が比較的小さく、売上も非常に好調な日本の事情を勘案して、先行しての展開を決定したという。前作を超えないと発売しないというポリシーを掲げるピンだけに、製品への期待は高い。昨年からの勢いをそのままにヒット作になるだろう。
やや非力なゴルファーには、テーラーメイド「SIMグローレ」がある。その名の通り、今年のヒット作「SIM」と人気のプレミアムブランド「グローレ」を合わせたというコンセプトだ。2年前に発売された「Mグローレ」が非常に評判よく、幅広い層に支持された実績があり、今回も期待できる。
このカテゴリーでは、(まだ発表前だが)2年サイクルで発表されているヤマハの「インプレスUD+2」の後継モデルが発売されるだろう。飛び系アイアンのパイオニア的存在で、飛距離だけでなく出来の良さに多くのファンを持つブランドだ。
同様に2年の販売サイクルを維持するタイトリストのアスリートモデルの発表もありそうだ。今、ドライバー購入を検討しているアスリートゴルファーは、もう少し待って比較してから購入するのもアリだろう。もっとも年明けにはまた新たなモデルが発売になるのだが。
クラブなど何を使っても同じというゴルファーも少なくないが、実際に打ち比べてみるとほとんどのゴルファーが違いを感じられるものだ。その違いを楽しむのもゴルフの面白いところではないかと思う。多少でも購入の参考になれば幸いだ。