オフの“卓球トレーニング”でフェース面の使い方をつかむ
8カ月ぶりの開催となった国内男子ツアー。長いオフの期間にトレーニングを積み、スウィングを磨いてきた効果が出た、星野陸也選手のプレーでした。
24歳にして早くも通算3勝目になりますが、この優勝で10月22日から米カリフォルニアで開催される「ZOZOチャンピオンシップ」の出場権も手にしました。
オフの間に卓球台を購入し、ボールにどうやってスピンをかけるのかつかんだといいます。そういった言葉を聞くと風やピン位置によってドローやフェードを駆使してコースを攻略するプレースタイルにも納得できます。そのスウィングを詳しく見ていきましょう。
安定感ある深いトップで飛距離と安定性を両立させている
まずは画像Aをご覧ください。オーソドックスなスクェアグリップで握り、足裏全体でどっしりと構え、重心が低くなり過ぎないようにてしいます。
飛ばし屋の星野選手ですが、腰を後ろに引くように使うことで、大きく深いトップをとるのが特徴です。フェアフェイをキープしようとすると、コースではなかなかここまで深いトップは取れないものですが、体のブレもなく切り返しのタイミングも安定していることで飛距離と方向性に優れたドライバーショットを持っています。
画像Bはトップ(左)と切り返し(右)の比較画像です。見比べてみると、右写真で左へと踏み込み、ヘッドを少し置き去りにするように下半身の回転を使って切り返していることがわかります。この切り返しでの”間”が作れていることが、高いショット力と飛距離に結びついています。
この“間”を作るためには、グリップや上半身に余計な力が入っていないことが必要になります。切り返しで強くクラブを握ってしまとどうしてもカット軌道になってなってしまいますし、タメも早くほどけてしまいます。星野選手の場合、余計な力みがないことで、スムーズにインサイドから下ろすことができています。
インパクト前後の画像Cを見てみるとフェースの開閉は体の回転に伴って自然にターンさせるタイプのスウィングです。中学時代は卓球部だったという星野選手。ドローやフェードの打ち分けるコツは、卓球で身につけたフェース面の使い方からヒントを得たと言いますが、今回は風の吹く中球筋をコントロール姿が印象的でした。
ホールのロケーションや風向きによって最適な弾道を選ぶと攻めやすくなったり、難しいエリアに外さないようにマネジメントできるようになります。
海外志向も強いと言いますが、米ツアーでは距離の長いセッティング、シビアなピンポジションが多くなるので、球筋をコントロールする技術と、それを活かすためのマネジメントを磨くことで、十分に戦えるポテンシャルを持っているのではないでしょうか。
まだ24歳と若く、スウィングやクラブなど自分の頭で考え、結果に結びつけている点からも米ツアーで活躍できる期待値は大きいです。コリン・モリカワ、マシュー・ウルフら若い選手が躍進する米ツアーに日本の若手代表として乗り込み、活躍できる日も遠くないのではないでしょうか。そのためにも、国内で賞金王を獲るくらいのレベルまで、上り詰めてもらいたいと思います。