クロスハンドのパッティングと小技に冴えを見せた
現地時間8時44分に河本結とチ・ウンヒ(メジャー1勝)と3サムでインコースからスタートした渋野日向子選手。気温32度、湿度15%、風速1メートル弱という天候は前日までと比べ、暑さも少し和らいでいるようです。
順位をひとつでも上げたい3日目のプレーは、出だしの10番で8メートルのバーディパットを決め幸先よく滑り出します。今大会ではクロスハンドのパッティングが本当によくハマっています。
前半はグリーンを外したらアプローチで寄せ、アプローチで寄せきれなくてもパットを決め……といたように小技が冴え、出だしのバーディの流れを切らさずにパーを重ねます。
16番ではセカンドを1ピンほど手前につけバーディ。昨日ボギーの17番はバンカーに入れましたがパーで切り抜け、ダボを打った18番パー5では3打目をきっちり寄せてバーディ。インコースをプレーした前半を3アンダー、トータル2アンダーで折り返します。
前日の夜に「60台を出したらステーキ」と青木翔コーチと約束していた
後半の流れを手繰り寄せるバーディが欲しいところですが、1番、2番で連続して20メートル弱のパットが残る展開に。しかし、いずれも「OK」の距離に寄せ、難なくパーをセーブしていきました。ロングパットの距離感と方向性が本当に抜群です。
いいパーを連続してセーブすると、3番で10メートルくらいを沈めて後半もバーディが先行します。6番でグリーン奥にこぼしボギーを打ちますが、8番パー3では傾斜を使ってピンに寄せバーディ、最終9番パー5では長いバーディパットを決めて連続バーディフィニッシュ。
後半の9ホールを2アンダーとし、この日は5アンダー「67」と昨日の後半叩いた分を取り戻し、3日間トータル4アンダー21位でプレーを終えました。
会心のプレーができた要因について考えてみると、終了後の会見でも話していましたが、出だしから長いパットが決まり最後まで集中力を切らさずに回れていたこと、今年初めて予選を通過した土曜日のプレーでのびのびとプレーできたことが挙げられると思います。
スタート前にはどれくらいのスコアで回りたいと思っていたかと尋ねると、こんな答えが返ってきました。
「昨日の夜ごはんのときに(青木翔コーチに)明日60台を出したらステーキをご馳走してあげると言われたので、とりあえず60台は出したかったです(笑)。自分が思った以上のスコアが出てくれたし内容もすごくよかったので100点に近いゴルフができたと思います」
青木コーチと約束したステーキも大きなモチベーションになっていたようです。そして、もう一つ朝の練習にも秘密がありました。取りこぼしのなかったアプローチについて質問すると
「朝の4番かな(実際はインスタートの13番)? 40ヤードくらいのラフからのアプローチを朝ちょうど練習していて、青木コーチに見てもらいながらやっていた距離が来たので、これだ、と思って打ったらいい感じに(手を広げてこれくらい)に寄ったのでパーを取ることができて、よかった~と思いました」
そして最後に明日のプレーについて答えた内容に、今日の好プレーの「もう一つの要因」があったことがわかります。
「明日は悔いの残らないように、明日は攻めのゴルフをしてもいいのかなと思うので、しっかり攻めて笑顔で終われるように頑張りたいと思います」
「明日は攻めのゴルフをしてもいいのかな」と語ったということは、今日までのゴルフは攻めるばかりではなく頭を使ってマネジメントしながらのプレーだったということになります。ショットやパットが復調してきたことに加えて、冷静にマネジメントしながらプレーに集中できていることが、好スコアの要因となっているようです。
今季は、アース・モンダミンカップ、ASIスコットランド女子オープン、全英女子オープン(AIGオープン)と3試合連続で予選落ちを喫しました。4試合目で初の予選通過を果たし、3日目に好スコアでプレーできたことは自信につながりますし、手応えを感じていることでしょう。
首位のネリー・コルダ、ブルック・ヘンダーソンとは8打差。明日の最終日も渋野選手らしいはつらつとしたプレーに期待しましょう。