国内女子ツアー「ゴルフ5レディス」で通算2勝目を挙げた小祝さくら。同試合に限らず、今シーズン好調が続く小祝だが、要因はどこにあるのか。2016年末からコーチを務める辻村明志コーチに話を聞いた。

練習に取り組む姿勢は「ほかの人は勝てないと思います」と辻村コーチ

「ゴルフ5レディス」を制し、通算2勝目を挙げた小祝さくら。前週の「ニトリレディス」でも単独2位、優勝後翌週の「日本女子プロ選手権」でも単独6位と、優勝争いに絡むシーンが最近目立っている。

2016年末からコーチを務め、小祝の上達を見てきた辻村明志も「(さくらは)特に今年は強くなっています」と言う。辻村は、教え子の練習への取り組み方を「良い意味で鈍感」と表現した。

「さくらは一緒に練習するメンバーの中で、たとえば『フェードを打て』というと必ず最初はできないし、できるようになるのも一番最後。でも3ヶ月後、一番精度が良くなっているのはさくらなんです。それは勘で覚えるというのではなく体で覚えるまでやるから。鈍感だとみんなは言いますが、やり続けられる性分なんです」(辻村コーチ)

画像: 今季は「ゴルフ5レディス」で通算2勝目を挙げた小祝さくら(写真は2019年の日本女子プロ選手権 撮影/岡沢裕行)

今季は「ゴルフ5レディス」で通算2勝目を挙げた小祝さくら(写真は2019年の日本女子プロ選手権 撮影/岡沢裕行)

2020年にもそんな小祝の姿勢を象徴するエピソードがあったという。

「さくらは開幕戦のアース・モンダミンカップを13位タイでフィニッシュしたんですが、ショットの仕上がり度合いで言えばもっと上位に行けると思っていました。課題がグリーン上にあるとわかると、翌日から朝5時50分に迎えに行ってコースの練習グリーンでボールの位置や目線など、一からやり直しました。その間一度もさくらは遅刻はしなかったし、必ず玄関の前で待っていました」(辻村)

コツコツと地道な練習を積み上げる、上達に対する真摯な姿勢は「ほかの人は勝てないと思います」と辻村も評する。休まずに試合と練習を続けることができる体の強さにしてもそうだ。素振りで体を作り続け、今ではさらにレベルアップ。出身地北海道を拠点とするプロ野球、元日本ハムファイターズのコンディショニングコーチだった多田トレーナーのもとでトレーニングを続けているそうだ。

また、良い意味での鈍感さに加えて「良い意味で余裕を持たないんです。余裕を持つと落ち着いてしまいますからね。さくらが余裕こいてる姿はみたことがありません」と辻村。

そして、小祝の向上心に追い風を吹かすのが、辻村がコーチを務める女子プロ集団「チーム辻村」メンバーのレベルの高さ。“お手本”がすぐそばにいるのだ。

「アプローチなら永井花奈、マネジメントだったら吉田優利。アイアンショットの音、入りなら上田桃子が良いお手本です。『同じ音がするように打って』と教えを受け、2年、3年と時が立つにつれて、同じ音がするようになってきています」(辻村)

もちろん技術を時間をかけてつかむタイプである小祝の努力が間違った方向に向かわないよう、舵取りをするのもコーチとしての重要な役目。「さくらは正しい(練習)と思ったら相当続けます。意外と頑固なところもあるんです。努力はするから、間違った努力にならないように選別するようにしています」と辻村の手腕も光る。

また、精神面の変化として、勝利に対する貪欲さも出てきたという。

「それだけ自分が(練習に)時間を費やしていたら、負けると悔しい。勝ちたい気持ちが強くなってきます。今までは恥ずかしがり屋だから隠してたけど、今年は少し勝ちたい気持ちが出てきましたね」(辻村)

その結果として「ショットやパット、ショートゲームもバランス良く伸びてきました。ショット自体の飛距離も伸びてきていますし、バリエーションも増えて、空中で球筋を作る技術もできてきました」と教え子の成長を評価する辻村。

ただ、「ここまで成績は出ていますが、試合になるとまた別。今でもさくらの自分の中での点数は低いと思いますよ」と辻村。ストイックな心構えは好調のなかでも変わらずのよう。上手くなることに対する努力を怠らない小祝なら、ツアー3勝目もそう遠い話ではないかもしれない。

※内容の一部を修正しました2020年9月15日21時33分

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