「シャフトが長いメリットは、遠心力がかかってヘッドスピードが上がること。そうすると飛ぶ可能性は高いですよね。だけど、長い分だけ振り切れない人もいます。仮に46インチのクラブと45インチのクラブがあるとして、実際に振ってみたら同じヘッドスピードだったら長いメリットはなく、ミート率が下がるというデメリットだけが残ります」(石井、以下同)
最近のドライバーは、45.75インチがほぼ標準といっていいほど長くなっている。もちろん、その分だけ軽量にもなっていて、シャフトの進化も相まって振りにくさを感じないよう工夫はされているのだが、スウィングのタイプなどによって、どうしても振り切れないゴルファーが出てきてしまう。
「だからこそ僕は、フィッティングを行う際は、ゴルファーが振り切れる長さで、ヘッドスピードが下がらない、一番短くて重いものを選ぶという考え方をしています」
振り切れる長さは人それぞれ。そして、ヘッドスピードが十分に出せるのであれば、重さがあったほうが安定感と飛距離は両立しやすくなるというわけだ。
さらに石井氏は「グリップのどこを持つかでシャフトの長さは変わる」ともいう。
「グリップを短く持つ代表選手といえば今平周吾プロですが、恐らく小さい頃から短く握っていたと思うんですよね。今平プロのように、長めのクラブを余らせて短く持ちたいというゴルファーは絶対にいて、どこで持ちたいかによっても長さは変わってきます。短く持つゴルファーが短いシャフトを使ってもさらに短く持つだけ。なので、そういうタイプのゴルファーにはシャフトを長く作りますし、グリップエンドギリギリで持ちたいゴルファーは振り切れる範囲まで短くカットします」
同じ45インチでも、グリップエンドギリギリを持つか、グリップエンドを余らせて持つかで長さは1インチ以上平気で変わる。そういったゴルファーのクセも、クラブの長さを決める重要な要素となる。
大事なのは、「振り切れる範囲で“短い”こと」だと石井氏。それ以上長いと、振り切れなくてヘッドスピードも安定感も出ない。MAXのヘッドスピードが出せる“短さ”のクラブを探すのが、MAXの飛距離を出すためには必要なのかも。