先週開催された海外メジャー「全米オープン」を制した“ゴルフの科学者”ことブライソン・デシャンボー。
肉体改造によって得た飛ばしのエネルギーを生み出す筋肉、そしてそれに見合うロフト角5.5度のドライバーを使用することで圧倒的な飛距離を手にしメジャータイトルを奪取したデジャンボーだが、飛距離への探求心はまだまだ尽きていないようだ。
デシャンボーは次なる飛距離アップの策として「48インチドライバーをテストします」と海外メディアのインタビューで語った。
「来週は48インチのドライバーを試します。(中略)ドライブをおそらく360、370ヤード、さらにはもっと遠くまでヒットさせることを実現させるでしょう」(デシャンボー)
現行の用具規則ではドライバーのシャフトの長さは48インチを超えてはいけないと定義されているため、まさにルールギリギリを攻めた長尺化を試みるデシャンボー。アマチュアにとってもドライバーの長尺化は飛距離アップの手っ取り早い手段のひとつのように思えるが、長いクラブは振りにくさも増すため、そう簡単ではない。
クラブフィッターの小倉勇人氏はこういう。
「私の記憶では過去2度ほど長尺ブームが訪れていたと記憶していますが、結局は廃れてしまいました。その一番の理由は、結局のところ一発の飛びはあっても安定しないからなんです」(小倉氏)
長ければ長いほどミートしづらく相応の練習量が必要となるし、ミスヒットしてしまった場合の曲がり幅も大きくなってしまう。小倉氏によれば「スコアを作ることを重視して考えるなら、現在主流となっている46インチのドライバーでも長いくらい」だという。
デシャンボーの場合はあくまでもよりよいスコアを出すための長尺化だが、アマチュアにとってはスコアメイクだけでなく、一発の飛びを目指すのもゴルフの楽しみのひとつ。もしアマチュアが長尺ドライバーを使うなら、どの程度のスペックまでなら扱えるのだろうか。「もちろんスウィングタイプやヘッドスピードによっても変わってきますが」と前置きしたうえで小倉氏はこう言う。
「アマチュアが扱える長尺ドライバーは、マックスでも47インチくらいまでが限度でしょう。シャフトが長くなるぶん、クラブの総重量を軽くしないと振り遅れてしまうので重量帯は40グラム台が良いでしょう。フレックスはX以上。軟らかすぎるとコントロールできなくなってしまいますし、トウダウンの動きも入ってしまいますからね」(小倉氏)
さらに安定感を出したいなら、「振り遅れやすいのでヘッドはつかまり性能が高いものを使用しましょう。ロフト角は10.5度。重心が深いモデルなら10度でも良いでしょうね」(小倉氏)
上記スペックを使ったうえで、「曲がってOBが出ても致し方なし。でも18ホールで1度はビッグドライブが欲しい、という方はぜひ挑戦してみてください。プレー以外の面で言うと、48インチともなるとキャディバッグのフードが閉まらないので、宅急便で送れない。トランクにも収まり切らない可能性があることにも注意してくださいね」と小倉氏。
というわけで、アマチュアにとって47インチを超える長尺は実用というよりも「ロマン砲」的位置づけとなるのは否めない。
それにしてもデシャンボーは一体どんなスペックで48インチを組むのか? ロフトは5.5度よりさらに立たせるのか? シャフトの特性は? 硬さは?
当分の間、デシャンボーのゴルフから目が離せない日々が続きそうだ。