昨年の「富士通レディース」でアマチュア優勝を果たしてプロ転向。今年「デサントレディース東海クラシック」でプロ初優勝を挙げた古江彩佳。早くもツアー通算2勝目を挙げたプラチナ世代のスウィングをプロゴルファー・中村修が分析。

スウィング中にフェースを開かず回転力で飛ばす

「デサントレディース東海クラシック」の3日間の最終ホールで15メートル以上のパット見事に決め、東浩子とのプレーオフに残った古江彩佳選手。プレーオフ1ホール目、2打目をピンの根元30センチにつけ今季初優勝、プロとしても初優勝を挙げました。

ルーキーとはいえ、昨年アマチュア優勝を果たし、その後もツアーで一線級の活躍を見せてくれただけに、ハタチとは思えない落ち着いたプレーと集中力、ショット力の高さに改めて感心させられました。

現在、パーセーブ率がツアー1位。リカバリー率もツアー1位。平均ストロークは3位と抜群のパフォーマンスを見せています。ロングショットからショートアイアンまで非常に安定したショット力を誇るそのスウィングを見てみましょう。

画像: 「デサントレディース東海クラシック」でプロ初優勝(通算2勝目)を挙げた古江彩佳(写真/大澤進二)

「デサントレディース東海クラシック」でプロ初優勝(通算2勝目)を挙げた古江彩佳(写真/大澤進二)

まずは画像Aをご覧ください。左手をややかぶせて握るストロンググリップで、左腕とクラブが一直線になるように構えています。両ひざの間隔とひざの向きに注目してみると、画像Aの右、トップの位置で左ひざはあまり内側に入っていません。これはアドレスで両ひざの向きが内向きにならずにやや外側を向いているから。

スウィング中に脚が動き過ぎてしまう人は、アドレスで両ひざを少し外側に向けるだけでフィーリングは変わってくるはずです。こうすることで古江選手の場合、下半身が動き過ぎずアドレスで作った骨盤の前傾角をキープしたままトップを作ることができています。エネルギーがしっかり蓄えられた深いトップでありながら、その再現性は非常に高いものがあります。

画像: 画像A:左手をかぶせて握るストロンググリップで左腕とクラブは一直線に構える(左)。両ひざをやや外側に向けることで脚が動き過ぎす静かにしかししっかりと下半身を使う(右)(写真は2020年のニトリレディストーナメント 代表撮影上山敬太)

画像A:左手をかぶせて握るストロンググリップで左腕とクラブは一直線に構える(左)。両ひざをやや外側に向けることで脚が動き過ぎす静かにしかししっかりと下半身を使う(右)(写真は2020年のニトリレディストーナメント 代表撮影上山敬太)

続いては画像B。切り返しからインパクトにかけてです。まず左写真の切り返しの時点ではフェースの向きが空を向くシャットフェースで、左腕と左手首はフラット。要するにフェースが開いていないということで、早い段階でボールをつかまえる準備が整っています。

画像A右のトップの画像と見比べてみると、左足を踏み込んで左腰が回転を始めそれに引っ張られるように手元がターゲットと反対方向に動き出しています。下半身は左にシフトしながらグリップ側は右サイドに移動する。これが、飛距離アップのために必要な動きです。

そのまま左サイドが回転し続け、ヘッドをインパクトまで導きます。画像B右のインパクト直前の写真のフェースの向きを見るとすでにスクェアに戻っています。ストロンググリップでフェースを開かずに使うメリットを最大限に生かしたスウィングと言えるでしょう。ヘッドが右足よりさらに右にある時点でもうスクェアなので、方向性が安定するのは言うまでもありません。

画像: 画像B 切り返しの早い餡会でボールをつかまえる準備が整い(左)、フェースがスクェアでいるゾーンが長い(右)(写真は2020年のニトリレディストーナメント 代表撮影上山敬太)

画像B 切り返しの早い餡会でボールをつかまえる準備が整い(左)、フェースがスクェアでいるゾーンが長い(右)(写真は2020年のニトリレディストーナメント 代表撮影上山敬太)

画像C、ドライバーショットを飛球線後方からとらえた写真を見ると、ダウンスウィングでのフェースの向きはクラブが地面と平行になった位置でボールを向いています。

インパクト前後でフェースの開閉が少ないスウィングを目指すには、このフェースの向きがポイントになります。このフェースの向きは、手先の感覚で「作る」のではなく下半身の動き、左サイドの回転によって「作られる」ことが重要です。

画像: 画像C クラブが地面と平行になった位置でフェースの向きはボールを向く(写真は2019年リコーカップ)

画像C クラブが地面と平行になった位置でフェースの向きはボールを向く(写真は2019年リコーカップ)

古江選手の抜群のショット力は、安定した下半身の動きとストロンググリップで握りフェースを開かずに使うことで実現しています。153センチの小柄な体ですが、回転力は鋭く、飛距離は240ヤード以上出ています。

そして優勝争いの中でもスウィングのリズムも崩れない安定したプレーぶりは、2000年生まれの20歳とは思えないほどです。アマチュア時代からナショナルチームで活躍し世界でプレーしてきた経験が生きているのでしょう。調子の波の幅が狭く年間を通して安定した成績を出せるタイプの選手です。

プラチナ世代で唯一のプロ優勝経験者となり、世代をリードする存在となりましたが、その実力は本物。今季中の複数回優勝もあるのではないでしょうか。

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