男子シニア並みのロングコースでどう戦うか
今週末開催となる国内女子メジャー2戦目「日本女子オープン」。まずその舞台となる福岡県のザ・クラシックゴルフ倶楽部について、プロゴルファー・中村修は「男子シニアツアー並みのロングコースです」と表現する。
「女子ツアーの多くの試合は6500ヤード前後での開催が多いですが、今回の日本女子オープンは6761ヤード。580ヤードのパー5の15番や、423ヤードのパー4の18番など距離のあるホールが目立ちます。長いパー4はもちろん、状況次第ではパー5であってもパーで切り抜けられるかが大事になってきます。そして1、3、5番をはじめとする短めのホールでどれだけバーディを奪取できるかが、まず勝負の分かれ目となりそうです」(中村、以下同)
さらに予定されているコースセッティング(写真A)を見ると、グリーンの速さは11フィートと比較的速めで、ラフの刈り高については80~100ミリでかなり深め。コース自体の長さも合わさって「難易度の高いコースに仕上がっています。さらに、インコースには池が配置されているホールも多く、さらに難しくなりそうです」と中村は指摘する。
そんな難コースで上位に上がってくる優勝候補選手を挙げるなら「まず今季勝利していて好調の笹生優花、小祝さくら、古江彩佳の3選手は外せないでしょう。そしてもう1名、鈴木愛選手を加えた4名を挙げたいと思います」と中村。
「まず直近の『デサントレディース東海クラシック』を3日間ノーボギーで回って優勝を勝ち取った古江選手。とくに距離の長いホールではフェアウェイキープを優先しないとパーオンは難しいですから、ボギーフリーでプレーできる安定感を持つ古江選手は、今大会でも上位に浮上する要素を持っていると言えるでしょう」
一方、ロングドライブを武器にコースを攻略してきそうなのが笹生だ。
「笹生選手は圧倒的なドライバーの飛距離で、ロングコースをものともせずに攻めてくるでしょうね。ただラフが深いぶん、スコアはドライバーの調子に左右されそうな感じはします」
そして、ゴルフ5レディスを制した小祝についてはこう評する。
「小祝選手は例年ほぼ全試合出場している、その体の強さがベースになっていますよね。今大会はデサントレディースから1週空いていますから、体力的には充実しているでしょう。そして、小祝選手を指導する辻村明志コーチも言っていましたが、今年は勝ちに対する欲求がしっかりと表に出ている。前シーズンも調子が悪いながらも上位をキープできる安定感がありましたが、今年は精神面でも一味違う。女子オープンの舞台でどんなプレーを見せてくれるか、すごく興味があります」
前シーズン賞金女王の鈴木愛については「試合巧者であることが強み」だと中村は言う。
「試合経験が豊富なら鈴木選手であれば、距離の長い難コースにもしっかり対応してくれるでしょう。今季はパットの不調に苦しんでいますが、その点さえ払拭できれば優勝の可能性は大いにあると思います」
シン・ジエら韓国勢、最終予選通過組や“プラチナ”よりさらに下の世代にも要注目
今大会から昨年賞金ランク3位のシン・ジエら韓国人選手たちの多くがツアーに本格参戦を果たすのも、今大会の注目ポイントだと中村。
「まだまだ試合勘は養われていないでしょうが、最終日に向けて確実に調子を上げてくるはず。シン・ジエ選手の活躍にも注目ですね」
また、今大会にはアマチュア選手も15名出場しているが、そのうち稲垣那奈子と岩井明愛の2選手も要注目だと中村。
「現在早稲田大学2年生の稲垣選手は、今年8月に開催された『ISPS HANDA 医療従事者応援!! チャリティレディーストーナメント』で3位タイに入賞。ツアープロも参戦する試合でこの成績ですから、実力は確かでしょう。岩井選手は2002年生まれで、プラチナ世代よりもさらに下の世代。2019年の『関東高等学校ゴルフ選手権 夏季大会』の個人の部で優勝するなど、今後が期待される選手の一人です。2選手がどういった活躍を見せてくれるのかにも注目したいですね」
ほかにも最終予選を突破して今大会の切符をつかんだ幡野夏生や乗富結など、大一番でチャンスをつかもうと狙う選手たちも多くいる。
「難コースを舞台に、プラチナ世代と黄金世代の若手やそのさらに下の世代、中堅、ベテランまでバランス良く上位で争うような展開になるのではないかなと思っています。ただ、明らかに難しいセッティングですが、バーディ合戦のハイスコア決着を予想している選手たちもいるようですから、最近の女子プロのレベルの高さは目を見張るものがあります。ともあれ、どのような戦いを繰り広げてくれるのか、要注目です」