松山英樹が使用したことで注目を集めるダンロップの「スリクソン ZX」ドライバー。日本のエースが使用し、好成績を収めているが、はたしてどんなクラブなのか。ゴルフトレンドウォッチャー・コヤマカズヒロが松山のドライバー選びを語る。

各メーカーの秋の新製品の中で、ひときわ関心を集めているのは、松山英樹が使用を開始したダンロップ「スリクソン ZX」ドライバーだろう。試合に投入したBMW選手権では最終日最終組で3位。全米オープンでも、3日目まで堂々の優勝争いを展開した。中止になってしまったものの、「63」をマークした今年のザ・プレーヤーズ選手権のように、ベストのプレーが出来ればビッグタイトルに手が届きそうな瞬間だった。

ご存知のように、松山は2016年にキャロウェイの「グレートビッグバーサ」を使用して以来、「スリクソン」のドライバーを使用していない。2018年には5機種、2019年には4機種のドライバーを投入したが、そこに同社のドライバーは一本もなかった。

「スリクソン」から2年前に発売された「Z785」と「Z585」のドライバーは、国内男女ツアーで多くの優勝に貢献し、海外でもシェーン・ローリーが「Z585」で2019年の全英オープンに勝利するなど、近年の国内メーカーのドライバーとしては、突出した実績を残している。その中で、看板契約プロである松山だけがドライバーを使用していないという、いわば画竜点睛を欠く状況が続いていた。

今季の松山は、年明けからテーラーメイドの「SIM MAX」を愛用していた。過去2年と比較すると長期に渡って使用していて、気に入っていたのが伺える。「SIM MAX」は、多くのPGAツアープロが使用する「SIM」と比べると、より寛容性が大きく、いわばやさしいとされているモデルになる。

画像: 松山英樹が使用するZX5ドライバー

松山英樹が使用するZX5ドライバー

それだけを見ると、松山はドライバーに直進性や寛容性を求めているように思えるが、昨年、ZOZOチャンピオンシップでタイガーと優勝争いの末に2位になった際は、小振りで操作性の高い「M5ツアー」を愛用していた。過去に使用してきたドライバーを振り返ってみると、その特性にはあまり共通点がなく、松山のドライバーの好みの難しさが伺い知れる。これは開発する側も大変なのではないだろうか。

BMW選手権で使用したのは、新製品2機種のうち、よりつかまりの良い「スリクソン ZX5」だ。次のツアー選手権では、よりニュートラルな「スリクソン ZX7」に変わったが、全米オープンでは再び「スリクソン ZX5」を使用していた。当面は「5」を軸に使用していきそうで、現在の松山はドライバーにつかまりと寛容性を求めていることが推測できる。

もっとも、松山の使用しているのはプロトタイプで、「ZX5」をベースにしながら市販品と多少味付けを変えたヘッドのようだ。松山の使用に応えられるプロ用ヘッドとして、市販品とは微妙な変更点があるようだが、そのあたりは非公開とのこと。R&Aの適合リストには、市販品含め「ZX5」が3機種の掲載があるので、そのいずれかだろう。

画像: こちらも松山が使用したZX7ドライバー

こちらも松山が使用したZX7ドライバー

さて、新たに発売となる「スリクソン ZX」だが、「ZX7」、「ZX5」ともに、安心感がありながら、ヒール部分はスッキリとしたバランスの取れた形状になった。誤解を恐れずに言えば、より海外ブランド風の形状だ。さらに「7」と「5」のシリーズの性能差を前作よりも小さくしたことで、プロやアスリートのニーズにより応じやすくなった。

キーテクノロジーとなる「リバウンドフレーム」は、ヘッドの剛性の高いエリアと低いエリアを交互に配置した4層構造を実現し、反発性能が向上したという。前作までの売りであり、「ゼクシオ」にも搭載されているカップフェースを今回は採用していないようだ。ダンロップの得意技術と思われるカップフェースだが、こうしたフェース構造の変更が、結果として、松山が好む打感に近づく要因のひとつになった可能性もある。

いずれにせよ、国内メーカーからまた楽しみなモデルが出てきたという印象だ。11月に行われるマスターズでの、松山の活躍如何によっては、さらに関心が高まるだろう。

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