渋野日向子をサポートし、渋野を“しぶこ”と呼ぶコーチ・青木翔は、子どもや部下を育てるためには、なんでも教えるのではなく、彼らが自分で考えるようにすることが大切だと語る。そして、自ら考えたことを質問としてブツけてきたときには「最後まで聞く」ことが大切だと説く。自身の著書「打ち方は教えない」からその理由を教えてもらおう!

子どもの気づきを生む「でも」の魔力

子どもや部下に教えるのをやめ少したつと、自分の頭で答えを考えそれを質問しにくるようになるでしょう。

でもガンガン聞きに来るわけではありません。だいたい質問があるのは1コマのレッスンで2回くらい。

「〇〇って、こういうことですか?」
「そうそう、そういうことだよ。よく分かったね」

こんな感じです。

画像: 選手自身の考えを尊重しつつ、新たに気づきを与えるのがコーチの役割だと青木はいう(写真は2019年のNEC軽井沢72ゴルフトーナメント 撮影/姉崎正)

選手自身の考えを尊重しつつ、新たに気づきを与えるのがコーチの役割だと青木はいう(写真は2019年のNEC軽井沢72ゴルフトーナメント 撮影/姉崎正)

だから、教え子がガツガツ聞いてこなくても安心してください。僕のレッスンでも、そこまで前のめりになっている子はいませんから(笑)。

ただ彼らは頭の中で、一生懸命に考え答えを模索しています。

もちろん経験の少なさから、導き出した答えが間違えていることもあります。

そんな時でも、まず彼らの考えを最後まで聞いてあげましょう。一生懸命に考えた答えを、いったん受け止めるのです。

そのうえで「でもね」と、正しい方向へ導くヒントを出してあげます。

「でもね、もっとこうしたら〇〇になるんじゃない?」
「でも、〇〇ってことはない?」

彼らの主張を受け止めて、方向転換ができる「でも」は、とても便利な言葉です。

まずは選手の考えを聞く。修正するのはその後

「でも」を言われた側は、自分の意見が採用されつつコーチの見識という裏付けも得られるので、自信をもってチャレンジすることができます。

一方で、ちゃんと否定をしてあげなければならないこともあります。それはやらなきゃいけないことをすっ飛ばして、選手がわがままを言っているときです。

たとえばやろうと決めた課題を、自分のわがままで変えてしまっていたら、それは違うとはっきりと伝えなくてはなりません。

自主性を育てることと、放任主義は似て非なるものです。

コーチは選手たちの能力や成長段階を把握し、常に適切な気づきが生まれるよう環境を整えなくてはなりません。

方向性がズレていたら修正を促す。自主性を大事にしながらもコーチはサポートを怠ってはいけないのです。

教えないというのは、放置することではありません。口を出すことは少ないかもしれませんが、しっかり見守ることを忘れないでください。

「打ち方は教えない。」(ゴルフダイジェスト社)より

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