グリップはクラブとゴルファーの唯一の接点。そのため、プロゴルファーは素材、重量、太さなどにこだわりを持つケースが多い。それに対して、アマチュアゴルファーの場合はグリップ自体に強いこだわりを持っているのはむしろ少数派だろう。
そんなグリップについて石井氏は言う。
「クラブって単純にいえばヘッドとシャフトとグリップで、でき上がっています。その中でヘッドとシャフトを変えるとなるとコストもかかってしまいますが、グリップはコスト面も含めてもっとも変化させやすいと思うんです」(石井、以下同)
ヘッドを変えたり、シャフトを変えるのはお金がかかるが、グリップだったら工賃を含めても最小限の出費で変えることができる。それでいて、その交換効果は大きい。素材や太さ、フィーリングを合うものに変えればショットの結果が見違えるということもよくあるし、ましてや使い古してツルツルになったグリップを使っているという人にとっては劇的な効果を生むだろう。
というわけで、安価で効果の高いグリップ交換だが、注意点がひとつあると石井氏は言う。
「大事にしてもらいたいのは重量です。元々装着していたグリップと新しく装着したグリップの重量が異なると、クラブの振り心地が変化して、下手すると振りにくくなってしまうことにもなり得ます。もちろん逆に振りやすくなるということもありますが、使っていたクラブの振り心地がいいなら、グリップ重量は変えずに素材から選んでみるのが失敗の少ない方法ではないでしょうか」
だからこそ、何グラムのグリップを使用しているのかはグリップ交換の前に把握しておくべきだという。
また同じブランドのクラブだとしてもドライバーとアイアンでは純正グリップの重量は異なる。そのためドライバーに装着しているグリップが気に入っていても、パターを除いたすべてのクラブに合うとは限らないことにも注意が必要だ。
「たとえばダンロップ『ゼクシオイレブン』ドライバーに装着されている純正グリップは30グラムですが、同モデルのアイアンは48.5グラム(カーボンシャフトの場合)なんです。ドライバー用の30グラムのグリップをアイアンに装着したらバランスは大きく変わるし、振りにくいと感じてしまう可能性もあるかもしれませんよね。だからこそ、グリップの重さには気を配りたいんです」
これを逆手にとって、もし使っているクラブを「振りにくい」と感じているならば、少し重量が異なるグリップを選ぶことでなにかきっかけをつかむことができるかもしれない。今使っているグリップよりも軽いグリップにすればヘッドを重たく感じるし、重いグリップにすればヘッドを軽く感じるといった変化が起こるからだ。
「クラブを変えなくても、グリップを変えてみるだけでも振り心地は変わります。手を出しやすく、試しやすい、そこがグリップのいいところであり、面白いところ。なにを選んだらいいか迷った場合は近くの工房に相談してみてはいかがでしょうか?」