攻めるゴルフを4日間貫いた結果、ダブルボギーフリーの16アンダー
原英莉花の昨シーズンと今シーズンのスタッツ(部門別データ)を比較すると、大きく良化しているスタッツがあることに気がつく。ダブルボギー率だ。
2019年のダブルボギー率は2.2426で88位。2020年は0.5051で9位。文字通りダブルボギーを打つ確率のことで、昨年の2%強から約0.5%と、サンプル数が少ないとはいえ変化が目に見える。
数字的にも、今年の0.5051は昨年のランキングに当てはめれば鈴木愛に次ぐ全体2位に相当し、かなりいい。ならばこの“ダボを叩かない”ディフェンス力の向上が日本女子オープン制覇につながったのかといえば、そうではないようだ。
原は、日本女子オープン優勝後のインタビューで、ダブルボギー数が減っていることについてこう答えている。
「今週は攻めたんですけど、先週まではちょっと守りに入っていました。去年まではドライバーで飛ばして攻めてというのが自分のゴルフだと思っていたので。(中略)ダボが嫌で、ちょっと守りに入っていた部分があったんじゃないかな」
ダブルボギーが減っていることを、原は安定感がアップした、リカバリーやマネジメントが向上したというポジティブ要素だけではなく、むしろ「守りに入っている」というネガティブ要素として認識していた。
「勝負かけないと流れに乗れないというのは分かっているけど、パーで安全にという考えで守りに入っていたのかも。それに先週気が付いて、今週3番ウッドを持ってきました」(原)
アイアンを変え、それに伴いユーティリティを抜いてより飛ばせる3番・5番ウッドを揃える攻撃的セッティングに変更。3番ウッドはティショットでも威力を発揮。最終日を小祝さくらという屈指の実力者とプレーしたこともあり、攻めのゴルフを最後まで徹底したことが、勝利につながった。
「自分のプレーは攻める気持ちなので、それを4日間で再確認しました。昨日、今日さくらちゃんとプレーして、ピンに絡むショットを見て私も果敢にピンを狙って行きました」と原。結果、黄金世代二人の攻め合いは見応え十分だった。
日本女子オープンの難セッティングで16アンダーは見事な数字。そして、4日間攻める気持ちを持ち続け、果敢にピンを狙った結果、ダブルボギーの数はゼロ。「攻める姿勢」を取り戻したファイター・原英莉花。ますます目が離せない存在になりそうだ。