前半で伸ばし、後半で耐えた
全米女子プロの会場となるアロニミンクGCは6577ヤードでパー70と、通常よりもパー5が二つ少ない設定です。距離が長く、アンジュレーションの強く大きなグリーン、176個ものバンカーが選手たちを待ち受けます。気温15度、風速5メートル、グリーンの速さは11.5フィート。寒さと風も難易度を増す要因となりました。
同組は最年少メジャー優勝記録を持つモーガン・プレッセルと280ヤードを越える飛距離で昨年のドライビングディスタンス1位のアン・バンダム。現地12時50分の午後スタートです。渋野選手は長そでのインナーに上着をはおりショットのときに脱ぐというスタイルです。
1番ではバーディチャンスを逃しますが、2番で10メートル以上あるロングパットを決めてバーディ。先週ポアナ芝のグリーンで苦しみましたが、そこから復調しタッチも合っています。
前半は、渋野選手ならではのバウンスバック(ボギー以上を叩いた次のホールで取り返す)が見られました。5番のパー3でグリーン左奥のラフに外してボギーを叩きますが、6番パー4で2打目を1メートル強につけバーディ。8番でもバンカーから寄せきれずにボギーとしますが9番のパー5できっちりバーディと、またもやバウンスバック。前半を1アンダーで折り返します。
風、グリーンの硬さ、傾斜のあるグリーンのピン位置に対してメリハリをもってマネジメントできていました。ショットは好調さを維持しパッティングもかなり復調しているのが感じられる前半でした。
しかし、12番で4パットのダブルボギー、13番ではフェアウェイのディボット跡にボールが入るアンラッキーもありボギー。一気に3つスコアを吐き出してしまいます。しかし、全体のプレーのペースが遅く毎ホール、毎ショット待ちながら打つ流れの中、悪い流れを断ち切って15番と18番でバーディを奪い後半は1オーバー。トータルイーブンパーで終えました。
好発進ではありますが、12番での4パットはかなりこたえたようで試合後はこう振り返っていました。
「出だしからいいバーディチャンスにつけられて入れたかったのですが、次に長いバーディパットが入ってくれて今日はいいのかなと思っていたら、12番で4パットしたときには泣きそうになった。なんか懐かしいなって思っちゃって(笑)。そのあとボギーも来ましたが2つバーディが取れてイーブンまで戻せたのはよかったです」
思えば全英女子オープンの最終日にも渋野選手は4パットを叩いていましたよね。それはともかく、たとえロングパットが残ってもグリーンの狭いほうに外さないようにしたという通り、難コースでのマネジメントが奏功したことがスコアに表れています。スタッツを見ても14ホール中13回のフェアウェイキープ、15回のパーオンとショットの好調さが見て取れます。
パット数は4パットもあったため33パットでしたが、パーオン率が高いこともあり内容は悪くありませんでした。風が吹く中で風に乗せたり「風と友達になれた」と飛距離もかなり出ていました。集大成という気持ちで臨んでいるという言葉の通り、2か月の海外遠征で経験し収穫したものをしっかりと見せてくれたと思います。
とくに後半のダボ、ボギーのあとの2つのバーディは素晴らしい。今季は後半で流れが悪くなるとそのまま崩れる傾向がありましたが、大きく改善されています。ショット、パット、メンタル面も非常に落ち着いていたので明日以降のプレーが楽しみになりました。
渋野日向子の初日スタッツ | |
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フェアウェイキープ率 | 13/14 |
ドライバー平均飛距離 | 295ヤード |
パット数 | 33 |
パーオン率 | 15/18 |
サンドセーブ率 | 0/1 |
また、畑岡奈紗選手はショットが安定しないながらも2オーバーでおさめ、河本結選手は3回の3パットがありながらも同じく2オーバーで40位タイと予選通過圏内で頑張っています。野村敏京選手は4オーバーと少し出遅れました、明日の巻き返しに期待します。
渋野選手の2日目は現地時間8時10分(日本時間21時10分)、畑岡選手、河本選手は午後12時45分、50分のスタートです。決勝ラウンドで日本勢が上位争いする姿を期待しましょう。