近年のウェッジはロフト角やバウンス角、ソール形状を複数用意し、それらを掛け合わせることで豊富なバリエーションをそろえているモデルが多いが、「大きなミスを減らしたいならハイバウンス、ワイドソールのウェッジが良いですよ」というのは、業界屈指のギアオタクでクラブフィッターの小倉勇人。詳しく話を聞いてみよう。

オススメは70〜80点のアプローチが打てるスペック

みなさんこんにちは、ギアオタク店長の小倉です。今日はウェッジのお話です。

昨今のウェッジは、ロフト角、バウンス角、ソール形状と細分化されたモデルが多く販売されていて、細かく選べることはユーザーとしてはとてもありがたいのですが、何が自分に合っていて何が合わないのかが分かりづらいところがあります。

画像: 近年のウェッジは同じブランドでも複数のロフト角やバウンス角、ソール形状のモデルを用意し、幅広いゴルファーに合うよう細分化されていることが多い

近年のウェッジは同じブランドでも複数のロフト角やバウンス角、ソール形状のモデルを用意し、幅広いゴルファーに合うよう細分化されていることが多い

これらは構え方、ボール位置、ヘッドの入射角などに加え、どんな弾道でボールを打ちたいかによって変わってきます。自分の好みが決まっている上級者は、自分で打つことである程度は判断することはできますが、初・中級者にとっては、その違いを体感することすら難しいと思います。

なぜかというと個人的にウェッジは他のクラブよりもフェースでボールをとらえるのがとても難しいクラブだと思うからです。ウェッジはボールを高く打ち上げるためにロフト角が多く設定されています。ロフト角が多いとフェースが上を向き、クラブの最も前方に出ているリーディングエッジからフェース面が後方に倒れるわけですから、打点が他のクラブより後方に下がります。

つまり、他のクラブよりは飛ばす距離は短くても、そのぶん正確なボールへのコンタクトと、より精密なヘッドの制御が求められるクラブなのです。

そんなウェッジで正確にボールをフェースでとらえるには、リーディングエッジからボールの赤道から下の部分にコンタクトする必要があります。そうしなければ100%のボールコントロールは難しいからです。それができるようになって初めて細かいウェッジの打ち分けができるようになり、好みのバウンス角やソール形状などがはっきりしてくるでしょう。

ざっくりのミスが多い方はボールをクリーンにトラえる意識が強い方に良く見られます。そういった方はフェースをボールにクリーンに当てようとし過ぎて、ヘッドの入射角が鋭角になり過ぎている場合が多いですね。

じゃあ好みのウェッジを見つけるのにそんな打ち方ができるまで練習しないとダメなのかと言えばそうではありません。前述の話はあくまで100%のボールコントロールを前提にしています。アプローチショットはなにも毎回100%のショットは要りません。

状況にもよりますが100%がタップインできる距離に寄せるアプローチであれば70~80%の結果、最悪でもグリーンにさえ乗せられれば十分パーは拾えるはずです。もちろんスクラッチプレーヤーを目指すのであれば必要なテクニックになりますが、正直なところシングルプレーヤーになるぐらいまではそんなシビアなアプローチは必要ないです。

それに100%のアプローチはとてもシビアにボールをとらえる必要があるため、ミスした時の怪我が大きくなりがちです。前述のザックリもその大怪我のひとつ。だったらリスクを負って100%のアプローチを狙うよりは、70%以上の結果を得られやすいリスクの低いアプローチを練習しておくのもアリだと私は思うのです。

そのリスクの低いアプローチとは、バウンスやソールを使ったアプローチのこと。ボールとヘッドがコンタクトするのと同時、ないしは直前ぐらいにソールを接地させ、ヘッドを滑らせるようにしてボールを打つ方法です。この打ち方ならクリーンにボールを捉えるよりはるかにアバウトに打つことができ、正確なアプローチは難しいまでも安定して70~80%のアプローチをすることができます。

そんなアプローチをしやすくしてくれるのがハイバウンス、もしくはワイドソールのウェッジです。これらのウェッジはベアグラウンドなどの厳しい状況でない限り、ソールを接地させれば安定して滑ってくれるのでボールを拾いやすく、安定したアプローチをさせてくれます。

私も、もうずっとハイバウンスのウェッジを愛用しています。ミスに強いですし、テクニックがあれば、ボールコントロールもできますからね。難しいクラブを使いこなすのもゴルフの楽しみですので、どんなクラブを使うのかは自由ですが、大きなミスを減らしたいならハイバウンス、ワイドソールのウェッジが良いですよ。

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