3人とも飛距離十分。体も強い
単独トップに立った河本力の魅力はなんといってもその飛距離。183センチの恵まれた体格から放たれる飛距離320〜330ヤードの飛距離、そしてアイアンの弾道の高さはスケールの大きさを感じさせる。
国内最高峰の大会で予選を終えて首位という結果にも、「1日3アンダーを目標にしていたので悔しい(2日めは2アンダー)」と答えるなど気持ちの強さもあるようだ。
そんな河本を、プロゴルファー・中村修はこう評す。
「330ヤードくらい飛ばしたスウィングでも、バランスが崩れません。スウィングの良さもありますが、これは普段からしっかりトレーニングを積み重ねている証拠でしょう。スウィング的には、体の回転力が強く、インパクトでおへそがターゲットを向くほど。アメリカの大学生のようなスケールの大きいスウィングでありなが、距離の調整もできるのが魅力ですね」
そんな河本を一打差で追い、「リーダーボードも見えて、アマチュアが上に来ていた。負けないようにという気持ちもあった」というのが日大4年の桂川有人。今大会からプロに転向した元アマチュア世界1位の金谷拓実と同学年。2018年の日本オープンで、2日めを終えてトップに立っていた選手だ。
この選手を中村は、「やはり、体がしっかりしています」とフィジカル面に注目。
「とくに下半身がしっかりしていて、トレーニング、体を作ることを積み重ねていることがわかります。そのおかげもあって飛距離は十分出ていますし、飛距離を出そうと体を揺らしたりもしないので、タイミングがズレることもありません。スウィングはコンパクトでフォローに向けて加速する中でボールをとらえています。スウィングの完成度は高いですね。距離の打ち分けや正確性も高そうです」
という。大学4年生で、この秋は来季のツアーに向けた予選会にも出場予定というだけあって、スウィングの完成度は3名の中でも高い。「2年前のリベンジをしたい」と言い切るところからも、並々ならぬ気迫が感じられる。
そしてもう一人が杉原大河。実はこの選手はすでにプロの試合でも結果を出している。昨年、大学2年次に下部ツアーのAbemaTVツアー「石川遼 everyone PROJECT Challenge」でアマチュア優勝を果たしているのだ。この杉原の魅力も、やはり飛距離だと中村は言う。
「河本、桂川両選手と比較すると、テークバックでクラブを立てて上げるマシュー・ウルフを思わせるようなスウィングが特徴的です。力みがなくスムーズに振り抜けています。体の強さも感じますし、飛ばしの能力は河本選手と同等に感じます。もしかしたらまだ余力を残している感じまであります」
日本オープンで予選ラウンドを首位で終えた河本。2年前に同じ試合で2日目を終えて首位に立ったことがある桂川。そして下部とはいえプロの試合で優勝経験がある杉原。全員がワクワクさせられる期待感あふれる選手たちだ。
日本オープンは残り2日。2位タイにつける昨年の賞金王・今平周吾は「プロの意地を見せたい」と語っている。同じ2位タイには百戦錬磨の谷原秀人、8位タイには日本オープンを2度制して勝ち方を知っている谷口徹、同じく歴代チャンピオンの稲森佑樹もいる。昨日3オーバーと出遅れた石川遼も今日は3アンダーを叩き出し、河本と5打差の13位タイと上位を伺う。
果たして勝つのはプロか、アマか。残り2日間の戦いから、目が離せそうにない。