小祝は、「今まで見た女子プロの中でも最高に上手い部類に入る」
女子プロの小祝さくらと同組でプレーした谷口。6アンダー3位、女子の部トップでホールアウトした小祝のことを、こう語った。
「小祝さくらちゃんとほとんど距離が変わらなくて驚いた。頑張らなあかんなと思って。ティの違いの分からちょっと勝ったくらいしか変わらなくて、飛びますよね。5番アイアンで抑えて打ちましたって、(そんな技術が)女子であるんか? と思いましたね。ピン筋(すじ)ってるショットばかりだし。むちゃくちゃ上手いですよね。それでひとこと言っておきました。そんなに上手いのに、なんで勝てないの?(笑)」
この“褒めつつチクリ”の加減はまさに谷口節。
「パターもアプローチも全部上手い。なにか(ひとつが)下手とかない。今まで見た女子プロの中でも最高に上手い部類に入る」と小祝を絶賛しているから、基本的にはエールなのだが、谷口節に“変換”すると、このような表現になる。
「お金いらんの?(笑)優勝するの恥ずかしいの? 優勝スピーチ嫌いなんかな? って。もっと勝てそうですよね」
さらに、先週の日本オープンではシニアなのに上位で活躍しましたたねと報道陣から水を向けられると、返事はこうだ。
「そんなシニアなのにとか言う言葉は関係ないですよ。だってハンデくれんもん。若者と距離で置いて行かれるのに勝負せなあかんし。誰もハンデくれませんもんね。みんなそうやっていうけど、そんなの(年齢は)関係ありませんよ。(予選ラウンドを同組でプレーした)佐藤太地には大したことないなぁ、チャレンジ(AbemaTVツアーで)勝ったらしいやん、そんなもんかってね(笑)。でもええやん、そっちは伸び代いっぱいあって。こっちは大して伸び代ないから大変なんだぞってね。ちょっとしかないですからね。あとは気合と根性ですよ」
52歳でも25歳でも同じフィールドに立てば関係ない。そして、52歳の今も、谷口は“伸び代”を感じながらプレーしている。そして、実際のところ日本オープンでも「勝ったらどうしようかと思いましたよ(笑)」と手応えを感じていたという。
事実、距離が長くラフも深いセッティングの中で、初日を首位と1打差の2位タイで終え、2日目も首位と3打差の8位タイ。雨と寒さでコンディションの悪くなった3日目の前半をパープレーでしのぎ、後半の出だし10番でバーディを奪い上位が見えてきた。
しかし、12番から16番までで6つスコアを落とし19位タイに後退し、最終日は13位へと順位を上げたが、時すでに遅し。
「3日目の後半からやり直したいわ。52歳で勝てるかなと思ったんですけどね。史上最年長なんですよね。戸田藤一郎さんが48歳で勝った(1963年)のが最年長で、もう50年以上前のこと。勝ったらどうしようって思ったんですよ」
今季はあとシニア1試合、レギュラーツアーは「三井住友VISA太平洋マスターズ」と「ダンロップフェニックス」に出場する予定だという谷口徹。ツアーのご意見番として、そしてなによりひとりの名プレーヤーとして、これからも大活躍してくれそうだ。