今年の6月に50歳を迎え、シニア入りしたフィル・ミケルソン。すでに8月の「チャールズシュワブシリーズ・アット・オザークスナショナル」でシニアデビュー戦Vを飾っているが、先週は自身2回目のシニアツアー「ドミニオン・エナジーチャリティクラシック」に参戦。今季2勝目を飾った。シニアデビュー後2戦2勝しているのは、1999年にブルース・フライシャー、今年にジム・フューリックとミケルソンの3人だけ。史上3人目の記録である。
「シニアツアーに出てプレーするのは楽しいね。ここ1カ月でオーガスタに向けて弾みをつけるのに、今回の優勝でいいスタートをきれたよ。少しでもキャリーを稼ぐため、以前は使っていなかったドライバーを今週入れてみたが、オーガスタに向けていい準備をすることができたと思う」
ミケルソンは現在、ドライバーの方向性を改善しようと取り組んでいる。飛距離も出て、ショートゲーム、パッティングも調子がいいというが、ドライバーの精度に欠けるといい、コーチとともに取り組んでいるそうだ。
その原因はスウィングリズムや体の使い方のバランスにあるとし、大きなスウィングアークでスウィングし、フェースローテーションをできるだけ少なくしながら打てば、方向性も良くなると語る。そして今大会に出場することで、自信を得ると同時に、さらに取り組まなければいけないことも見つかったのだという。
「たくさんいいプレーもできたけど、いくつかやらないといけないことも見つかった。でも、全体的に楽しく、うまくいった1週間だったよ」
最終日はミケルソン同様、レフティでマスターズチャンピオンのマイク・ウィアと激突。彼とは3打差の2位からのスタートだったが、逆転優勝を果たした。持ち前のアグレッシブさを持って攻めるところは攻め、ミスも防ぎながら、自分の思い通りのプレーができたというミケルソン。大学生時代にともに戦った同級生のマイク・ウィアと、シニアツアーで再び直接対決を果たし、普段よりも攻めのプレーを貫くことができた。
若手の猛者を相手にレギュラーツアーで戦うのは50歳のミケルソンにとっては重荷になりつつあるが、時々シニアツアーに出ることで、昔馴染みのプロたちと顔を合わせてその雰囲気を楽しみ、優勝することで自信を取り戻すことができるという利点を持つ。
彼自身もいう通り、あと1カ月後には今年最後のメジャー「マスターズ」が開幕する。今大会で優勝して自信をつけ、今週のレギュラーツアー「ZOZOチャンピオンシップ」、「ヒューストンオープン」に出場して、「マスターズ」にむけて準備を整える意向だ。来年の「全米オープン」に自力で出場するためには、世界ランク50位以内をキープするほか、「マスターズ」で優勝することで出場権を得る方法もある。
50を過ぎて、グランドスラム達成のタイムリミットがそろそろ迫りつつあるが、トレーニングを積み、食生活の改善も図ることで、今も若手に負けないゴルフを披露している。「マスターズ」を再び制覇して、グランドスラムの望みをつなげることができれば、ゴルフの新たな歴史を刻むことができるかもしれない。