タイトリスト「TSi」シリーズのドライバーには、純正のオリジナルシャフトのほかに、グラファイトデザイン「ツアーAD DI」もラインナップされている。このシャフトはなんと2009年発売のモデル。最新シャフトがラインナップされるのが常識だが……いったいなぜ?

松山英樹愛用シャフトを最新モデルにセット

タイトリストが最新ドライバー「TSi」シリーズのシャフトラインナップに“プレミアムシャフトオプション”として追加したのが、2009年に発売した「ツアーAD DI」。

TSi2、TSi3の2モデルとも50グラム台の「DI-5」と60グラム台の「DI-6」(いずれもフレックスはSのみ)が、純正オリジナルシャフトの「TSP110 50」「TSP322 55」と併せて選択肢に入っている。

画像: タイトリストの最新ドライバー「TSi2」「TSi3」2モデルのシャフトラインナップに2009年発売のツアーAD DIがラインナップ

タイトリストの最新ドライバー「TSi2」「TSi3」2モデルのシャフトラインナップに2009年発売のツアーAD DIがラインナップ

カスタムシャフト自体は珍しくもないが、そのラインナップは大抵の場合各シャフトメーカーの最新モデルが並ぶ。10年以上前のシャフトが採用されるのは異例だ。

メーカーによれば、様々なカスタムシャフトとヘッドとのマッチングをテストした結果、もっとも良い結果が出たのがツアーAD DIであったとのことだが、今回のタイトリストの決断について、東京のショップ「ゴルファーズトラスト」のクラフトマン浅井浩氏は「やはり、海外のゴルファーの好みに合わせたっていうところが一番強いのではないでしょうか」と推察する。

「実際、ツアーAD DIの評価は高いですからね。体格とパワーがある海外ゴルファーでも安心して叩いていける性能がツアーAD DIにはあります。手元が柔らかめで先端部にいくにしたがって硬くなっていて、かなり強くて当たり負けしないシャフトと言えますよね」(浅井、以下同)

画像: グラファイトデザイン「ツアーAD DI」(写真は50グラム台のSフレックス)

グラファイトデザイン「ツアーAD DI」(写真は50グラム台のSフレックス)

実際にPGAツアープロたちの間でも、ツアーAD DIは根強い人気を持っている。真っ先に思い浮かぶのは、日本が誇る松山英樹だ。アマチュア時代からDIを愛用していて、同じくツアーADシリーズのGPやXCを使用する時期もあったが、今週末開催のZOZOチャンピオンシップ練習日でもスリクソンのニューモデル・ZXドライバーにDIをテストしているという情報もあり、その信頼っぷりは明らか。DI=松山のシャフト、と認識している人も少なくないだろう。

画像: アマチュア時代からツアーAD DIシリーズを愛用している松山英樹(写真は2019年のシュライナーズホスピタルズ 撮影/姉崎正)

アマチュア時代からツアーAD DIシリーズを愛用している松山英樹(写真は2019年のシュライナーズホスピタルズ 撮影/姉崎正)

同ツアー通算14勝のアダム・スコットはツアーAD一筋というわけではないものの「飛距離は他社のシャフトを使ってもさほど変わらないが、(DIの)安定感・正確性は抜群」とツアーAD DIを評価している。通算82勝を誇るタイガー・ウッズも一時期DIを採用していた。

ではなぜプロたちは同じシャフトを長年使用しているのか。もちろん、性能自体を気に入っているのは前提としてあるが、そもそもの話として、技術の進化によってその性能が年々ブラッシュアップされていくクラブヘッドに対し、カスタムシャフトのニューモデルはしなりの特性を変えて選択肢を増やすという側面が大きい。それゆえに、ゴルファーにとっては「ぴったり合うシャフト」であれば10年前のシャフトであっても十分に現役なのだ。

「ただ、やっぱりDIはトルクが低いのでつかまらないことがあるかもしれませんので、オーバースペックにならないように注意したほうが良いですね。とはいえ、純正のオリジナルシャフトの値段に約1万円程度のアップチャージでDIを選べるなら、差してみようって人は多いのではないでしょうか」

カスタムシャフトは+ウン万円、ということが多い中、TSiシリーズは純正シャフトに+1万1000円でツアーAD DIを選べる。もちろん純正オリジナルシャフトもヘッドに合わせて設計されている以上マッチングが良いのは間違いないが、既存のカスタムシャフトから、結果だけを優先してラインナップに取り込む、というのはゴルフ業界的に見ても新しい試みだし、ゴルファーの懐にもやさしい。今後、他メーカーがタイトリストの試みに追従するかにも注目だ。

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