ホールごとに使えるクラブが減っていくので、独自のマネジメントも楽しめる
ゴルフにまつわるエッセイなど多くの書籍を執筆し、「読むゴルフ」を広めた作家・夏坂健氏。そんな夏坂氏と、夏坂氏の著書の愛読者たちで集い設立されたのが「地球ゴルフ倶楽部」だ。
夏坂氏の著書から名付けられた同倶楽部は、“ホームコースがないプライベートクラブ”として夏坂イズムを継承し、「もっと楽しく、もっと正しく」をモットーに活動しているという。
そんな同倶楽部の特色として「年2回行われる研修会では、通常のストロークプレーではなく特殊なルールを設けてプレーするんです」というのは、現在同倶楽部のキャプテンを務めている松下健氏だ。
「最近行った研修会では、イギリスのとあるゴルフ倶楽部のキャプテンを務める会員から教えてもらったルールをアレンジして採用しました。ざっくり言うとパターを除いたクラブ本数を制限するルールなのですが、まずスタート時のクラブ本数の決め方はハンディキャップを参照します。たとえばハンディキャップ4なら最大で4本+パターでスタートするんです」(松下氏、以下同)
そしてこのルールのミソとなるのが、「残りホール数がハンディキャップと同数になってから、1ホールプレーが終わるごとに使えるクラブを1本ずつ減らしていかなければならない」というもう一つの制限。
つまり、プレー途中で使えるクラブがさらに減っていくというわけ。たとえばハンディキャップ5のゴルファーなら、14番までは5本のクラブ+パターでプレーし、15番以降は1本ずつクラブを減らし、最終ホールでは1本+パターしか使えなくなるのだ。
こういった制限ルールの下でプレーすると「スキルであったりマネジメントを考える“ゴルフ脳”が鍛えられるのでオススメですよ」と松下氏は語る。
「まず、クラブの本数を制限することで本来なら番手を選択すれば良いだけだった状況にも工夫が求められるようになりますよね。たとえば7番アイアンで50ヤードのアプローチをしたり、ユーティリティで110ヤードのコントロールショットを打ったり。1番手での距離の打ち分けって普段そんなに精密にやっていないと思うんですが、それが必要になってきます」
さらに、途中からクラブの本数がさらに少なくなることで「どのクラブをどの段階で手放すか」という独自の戦略も楽しめるというわけ。
「たとえばウェッジがない状態でバンカーには絶対入れたくないですよね。だからコースレイアウトを吟味して、どの段階で手放すのかも戦略の一つです。そして、ウェッジを手放すならバンカー越えのショットが残ることを徹底的に避けるマネジメントが必要になってくるわけです」
こういったマネジメントを考えるためには事前のコース研究も求められるし、ゴルファーごとに得意クラブも違うしその日の調子によって残したいクラブも変わってくるだろう。何より普段のプレーとは違うスリルがあると松下氏は言う。
「クラブの本数が減っていくことで、14本のクラブがある状態で漫然とフルショットしているのとは違う緊張感が生まれますし、綿密に考えていけば少ない本数でもスコアを作ることができるんです。実際、研修会では普段と大差ないスコアで上がった会員も多くいましたね」
実際にハンディキャップ4の松下氏は、制限ルール下でスコア77でホールアウト。「ただ、ラウンド後は考え過ぎて頭のほうが疲れていましたね(笑)」という。
もちろんこういった制限ルール下でプレーした経験は、14本のクラブでラウンドする際にも活きてくるはず。プレーヤーのスキルやマネジメントを磨くのにもってこいなこの制限ルール、ぜひ仲間内で楽しんでみてはいかがだろうか。