「前回は飛距離で置いていかれないようにと思うあまり、力んでしまうことが多かったですね。もちろん、自分のほうが飛ばないことくらいわかっていたのですが……。マン振りをすると、私ももう少し飛ぶのですが、曲がる確率も高くなってしまう。距離が残るうえに、ラフに入ったら……ノーチャンスです。男子の選手はラフや林からのリカバリーの技術がすごい。私にそこまでの技術とパワーはないので、今回はたとえ240ヤード残るとしても、フェアウェイキープを第一に考えたいです。“1ヤードでも遠くに”と思うのはダメだと前回で学びました。欲張らずにいけたらいいなと思います」(三浦)
女子ツアーでは、彼女より飛ぶ選手は決して多くない。しかし、男子に混ざれば当然、飛距離でかなうはずがない。自分でもわかってはいても、“飛ばし屋”としての本能が力みへと導いてしまっていた。そして、ドライバーで力むことは、その後のショットにも悪影響があったと三浦は話す。
「力むと切り返しからダウンにかけて、上体の起き上がりが早くなるので、アイアンショットも乱れてしまいます。すべてのリズムがおかしくなって、スコアを作ることができなかったですね。自分にできることを、いつもどおりゴルフをするべきだなと思いましたね」
そんな三浦は現在、日本女子プロゴルフ協会のティーチングプロの資格を取るために勉強中だと明かしてくれた。
「コロナ禍で、ゴルフが思うようにできない状況が続いたとき、自分に何ができるのかと自問自答しました。私は今まで、プレーすることしかしてこなかった。いわばゴルフの“内”しか見てきていないんです。でも、これからの人生を考えたとき、“外”からゴルフを見られる目を持つことって大事なんじゃないかなと考えるようになりました。それに普段から教えるのが好きなので、しっかりした知識をつけたら、もっとたくさんの人の笑顔も見られるんじゃないかと。合格すれば3年後にQTの受験資格を得られることも受けようと思った理由のひとつです。ただ、一番大きな理由はゴルフをいろんな角度から見られるようになりたいということですね」
決して、プレーヤーとしてツアーで戦うことをあきらめたわけではない。これはあくまでも、自分自身がゴルファーとして成長するための選択肢のひとつだ。男子ツアー参戦もそう。いろんな“ゴルフ”を知ることで、三浦はひと回りもふた回りも大きくなるはずだ。
写真/大澤進二