ブリヂストンのクラブフィッターで、クラブとボールのマッチングも行う田元氏は、いわばクラブとボールのソムリエ的存在だが、そんな彼は自身のプレーでは「3種類のボールを使い分けてる」という。なんで!?

「僕は打感が好きで、飛距離も出るツアーB Xがエースボールです。だけど、初めてのコースに行くときに意外と(コースとボールが)噛み合わないなということがあって、状況に応じたボールを使うことにしているんです。今はキャディバックにツアーB X、ツアーB XS、ツアーB JGRの3種類を入れています」(田元、以下同)

コースとボールが噛み合わないとは独特な表現だが、具体的にはどのような状況なのだろうか?

「たとえば砲台グリーンでせりあがっているようなグリーンでは直接グリーンに乗せないと難しいアプローチが残ったりしますよね、そういうときは止まる確率が高い『XS』を使います。あとはピンが端っこに切ってあると縦位置(グリーンを使える奥行き)も少ないので、こぼれてピン側のバンカーにつかまったら寄せるのも大変。そういう状況ではXSを選んだほうが、マネジメントしやすいということなんです」

画像: 写真左からツアーB X、ツアーB XS、JGR

写真左からツアーB X、ツアーB XS、JGR

ツアーB XSはタイガー・ウッズがショートゲームを重視して選んでいるということもあって、スピン性能が高いボール。だからこそ、バンカーやハザードが多いコースでは「止める」ということを重視して選ぶのだとか。

また一方でXでもなくXSでもない、“飛び系ボール”のJGRを選択するということもあるという。それはどんなシチュエーションで使うのだろうか。

「山の上のコースなどで、風が5~6メートルほど吹いていたとき、風に流されるのを計算するよりは(曲がりの)度合いを減らすために低スピン系のJGRを選ぶようにしています。あとは広くて長くてフラットなコースの場合は転がりやすいJGRを使うことがあります」

画像: タイガーは"アプローチ重視"でスピン性能の高いツアーBXSを選んでいる(写真は2019年の全米プロゴルフ選手権 撮影/姉崎正)

タイガーは"アプローチ重視"でスピン性能の高いツアーBXSを選んでいる(写真は2019年の全米プロゴルフ選手権 撮影/姉崎正)

風が強いゴルフのときはティを低くして低い球を打とうとしてミスしがち。ボールを変えてスピン量を減らし、あとはいつも通りプレーしたほうがミスも少なく、マネジメントしやすくなるのかもしれない。

「プライベートのコンペのドラコンホールではJGRを選んだりするのもありですよね。たとえば、渡邉彩香プロは以前、ドラコンやるときにJOKERという“ディスタンス系のボール”を選択していましたから」

このように様々なシーンでボールを使い分けるのは面白そうだが、問題点が1つある。それは「パターの距離感は微妙な差がある」ということだ。だからこそ、田元氏は「本来は同じもので使っていくことがおすすめ」だとも話す。

画像: 渡邉彩香はJOKERを選んでドラコンに臨むこともあるのだとか(写真は2019年の日本女子オープン 撮影/岡沢裕行)

渡邉彩香はJOKERを選んでドラコンに臨むこともあるのだとか(写真は2019年の日本女子オープン 撮影/岡沢裕行)

「ボールを使い分けてはいますけど、あくまでもエースボールはツアーB X。パターの距離感も変わってきますし、エースを知っている上で違うボールを試すことでボールの違いがわかるはずです。なので、まずはエースボールを決めることが重要だと思います」

ボールフィッティングをして自分にとって一番合うボールはどれなのかを把握しておくことで、自分のなかで基準をつくることができ、それがスコアアップにもつながってくるはず。エースボールといういつでも帰れる港を確保した上で、コースに合わせたチョイスをしてみると、面白いかも。

This article is a sponsored article by
''.