ZOZOチャンピオンシップで惜しくも2位タイフィニッシュとなったジャスティン・トーマスだが、その最終日11番ホールで見せたリカバリーショットがスゴかった。いったいどうやって打ったのか? プロゴルファー・堀口宜篤が解説する。

ジャスティン・トーマスのスーパーショットが披露されたのはZOZOチャンピオンシップ最終日の11番パー5。トーマスはティショットを大きく右に外し、2打目をベアグラウンドのようなライから打つことに。しかも目と鼻の先には大きく枝を伸ばした木があり、グリーン方向を直接狙うことができない状況となっていた。

画像: ジャスティン・トーマスがZOZOチャンピオンシップ最終日11番ホールで見せたスーパーリカバリーショットをプロゴルファー・堀口宜篤が解説(写真は2020年のWGCメキシコ選手権 撮影/姉崎正)

ジャスティン・トーマスがZOZOチャンピオンシップ最終日11番ホールで見せたスーパーリカバリーショットをプロゴルファー・堀口宜篤が解説(写真は2020年のWGCメキシコ選手権 撮影/姉崎正)

アマチュアならば安全策で一度フェアウェイに戻すしかなさそうな場面だが、そこはトーマス。なんと超低空のスライスショットで木の左側を抜けつつ134ヤード飛ばし、フェアウェイど真ん中への見事なリカバリーを見せたのだ。この弾道がとにかくすごい。まるでシャンクのように、構えた方向の右30〜45度くらいに打ち出しているのだ。

まさかシャンクではないと思うが……このスーパーショット、いったいどのようにして打ったのか。PGAツアーの公式ツイッターに投稿された件のショット動画を見たプロゴルファー・堀口宜篤はこう解説する。

Twitter: @PGATOUR tweet

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「動画でスウィングを見ると、思い切りスライスをかけるためにターゲットに対して体はかなり開きつつフェースをターゲットに向けた状態で構えています。アドレスの段階でどスライスが出る形、そして低く抑えて打つ形を作っているんですね。もともとトーマス選手はフェードヒッターなので、体の開き具合とフェースの向きでどれだけの曲がり幅になるのか、どれくらいで構えれば低く打ち出せるのか、というイメージはすごく持っているんだと思います」(堀口、以下同)

「どスライス」が出るアドレスから、ヘッドを低い位置にキープしながら打っていくのだが、もう一点重要なポイントが「手首を返さずに抑えて打っているところです」と堀口。

「とくにトーマス選手は右手でグリップの下側から握り込む形なので、手首が返りやすいんです。だからそこは強く意識したでしょうね。少しでも手首が返ってしまうと(フェースがスクェアに戻って)ストレート球が出てしまって大惨事ですから」

さらに、「インパクトしてからフィニッシュまでの腕の畳み方も早い」と堀口は指摘する。高さを出さないために腕の畳を早めることでフェースに乗る時間を短くしているというわけだ。

今回のトーマスのスーパーリカバリーに限らず、プロの試合を見ているあっと驚くようなショットが飛び出す場面はままある。もちろんプロたちがイレギュラーすぎる状況を想定して練習しているなんてことは考えづらいが……「かといってアドリブというわけでもありません」と堀口は言う。

「トーマスに限らず、ジュニアの頃からプレーしているプロたちは、遊び感覚で曲がり幅や高低差を調節したショットは打っているんです。だからこそ本番でのイレギュラーな状況でも自分の感覚で対応できるんでしょう」

経験に裏打ちされたからこそ生まれるプロたちビッグプレー。今回のトーマスのミラクルショットも、本人にとってはミラクルではないのかも?

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