渋野は新しい自分になろうとしている
ーー2019年は飛躍のシーズンでしたが、周りの環境への対応が難しかったですね。オフの間はどのような取り組みをなさったんでしょうか。
一年間を通して見ていて“悪くなったらこうなるな”っていうところを少しでも軽減することを念頭におきました。渋野はスタンスが広くなりすぎて、横の移動が強くなりすぎるところがあるので、回転力を高めて一年を通じて活躍できるように意識しましたね。
ーースコットランドの2試合はコンディションが大変でしたね。
傾斜が2%以下の傾斜がほとんどない。“どこにピンを切るの?”っていう。試合が始まれば「そこに切るの!?」っていうのを経験しました。
ーー予選は通りたいところでしたが……
結果がすべてなのでダメはダメで受け止めて、進んでいくしかないですけど、人生で経験したなかで一番難しかったですね。
ーー全英出場後は日本に帰国せず、そのままアメリカツアーへと参戦しましたが(青木コーチは日本に帰国)大分調子を戻すことができましたね
傾斜がきついところでやってきましたから、コントロール系ばかり打っていたのをピンを目指して振り抜くことを意識して練習しなよ、とは伝えました。
ーーアメリカでは参戦した4試合は、調子の波はあったものの全て予選を通過して、かなり収穫があったのでは?
アメリカで新しい自分になろうとしているのはすごく感じました。いままでの“ピンを狙う”だけじゃなくて“ピンを外して打つ”っていう単純なところなんですけど。ピンを外すほうが普通は簡単じゃないですか。あの子は逆で、ピンを外して打つのが苦手。そこはこれからも練習して行こうとは伝えています
ーー海外の選手を見て思うこと?
どこに打って、どういうパットを打ってバーディを狙う、パーを取るっていうところがすごく明確。花道の40ヤードのアプローチって意外と難しいじゃないですか。それも奥が3ヤードしかないとか。そういうのををスッと寄せてくる。そういうところに差を感じましたね
ーー畑岡奈紗選手はいい位置でしたね。
21歳とは思えないくらい自分をコントロールできてるし、どうやってこの子はこんなに自分をコントロールできるようになったんだろうと思いました。とにかく自分自身をコントロールすることに長けていると感じましたね。ただ畑岡さんには畑岡さんのプレースタイルがあって、全て渋野にあてはまるわけではないので吸収できるところだけ吸収してもらえればいいんですけど。
「派手なことをやってくれますよね、相変わらず」
ーー帰国して、「樋口久子 三菱電機レディス」結果的には予選落ちでした。
ホールインワンをした時点でちょっと嫌な予感がしたんですよ。
ーーホールインワンした試合はすべて予選落ちというジンクスがあるんですよね。
左足上がりとかは、もともと苦手なライなんですけど、左足上がりの奥ピンで奥に外してダボを打ったりしていました。そこは練習していくしかありません。自分でもわかっているけどできない部分もありますから、そこはあまりつつきすぎても本人が苦しくなるだけなので。自分ができることにもっとフォーカスしてくれればいいと思います。ただ派手なことをやってくれますよね、相変わらず。
ーードライバーやショットは良かったですね。噛み合うと結果もついてくるのはないでしょうか。
いい流れで勢いがつけばいいと思います。本人のなかでマネジメントっていうのをすごく大切にやっているので、今までのようにガンガンいくだけではない。そこでうまく波に乗れない部分もあると思うんです。そこはゲームをこなしながらプレースタイルに肉付けしていく部分だと思います。
ーー今年は、コーチが会場に入れないんですよね。今週はTOTOジャパンクラシックですが、どんなプレーをして欲しいですか
結果が欲しいところではあると思いますが、ブレずにやることもすごく大切なので、今は自分のやりたいことを貫いてほしいと僕は思います。そのなかで振り返って、これはいらない、これは続けようというのを自分のなかでひとつひとつ消化してくれればいいと思っています。
撮影協力:パフォーマンスゴルフスタジオ