「カップからボールを取り出すときはカップに触れないようにしましょう」ゴルフを始めた頃、そう教わったゴルファーは多いはず。来週に迫ったマスターズの公式アカウントが投稿した短い動画を見れば、その言葉が改めて身に染みるかもしれない。

マスターズの公式ツイッターアカウント(@TheMasters)が投稿したのはわずか29秒の短い動画だ。「Pins and precision(ピンと精確性)」と題されたその動画は、美しく刈り込まれたオーガスタが誇る超高速の「ガラスのグリーン」にカップが切られるところからスタートする。

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専用の器具を使って地面に円形に穴がうがたれ、そこにカップが埋め込まれるわけだがすごいのはそのあと。使い込まれ、塗装が剥げた緑色のハサミを用いて、まるで理容師が襟足の髪の毛を切りそろえるように、カップのふちのわずかにめくれた芝を、丁寧に切り揃えているのだ。

画像: 来週開幕するマスターズ。ガラスのグリーンを舞台に、今年はどんなドラマが生まれるのだろうか(写真は2019年のマスターズ 撮影/姉崎正)

来週開幕するマスターズ。ガラスのグリーンを舞台に、今年はどんなドラマが生まれるのだろうか(写真は2019年のマスターズ 撮影/姉崎正)

ビロードのようになめらかで傷ひとつないオーガスタのグリーン。そこを世界最高峰の技術を持つプレーヤーがプレーするマスターズでは、“毛先の不揃い“程度の誤差が結果を大きく作用するほどの繊細さが求められる。

だからこそ、オーガスタナショナルゴルフクラブのコース管理スタッフは、まるで我が子の髪を刈るように慎重に、1本1本の芝を刈り揃えるのだろう。コースと大会への誇り、そして出場するマスターたちの技術へのリスペクトがそこからは感じられる。

そして、我々アマチュアゴルファーにとっても「カップのふちは大切に扱おう」というゴルフを習い覚えた頃に教わったマナーの基本のキを、改めて教えてくれるようだ。

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