いよいよ今週開幕する海外メジャー「マスターズ」。最注目選手は、全米オープンを制し、マスターズでは48インチの長尺ドライバーの投入を示唆しているブライソン・デシャンボーだ。果たして“ゴルフの科学者“はメジャー2連勝を手にすることができるか? プロゴルファー・中井学に占ってもらった。

全米オープンでのデシャンボーの勝利は圧巻だった。新型コロナウイルスの影響でツアーが中断していた間に肉体改造に成功。ロフト5.5度のドライバーを使って圧倒的飛距離を稼ぎ出し、フェアウェイキープが絶対とされた従来の全米オープンの戦いと大きく異なる、飛ばすだけ飛ばして、ラフからのウェッジワークとショートゲームでバーディを奪うという戦略で、見事メジャーの栄冠を勝ち取ったのだ。

そして、試合への出場を見送ってひたすら調整に時を費やしたデシャンボーは、48インチというルール限界の長さのドライバーの投入を示唆。その目的が飛ばしにあることは明白だ。

画像: (写真は2020年のWGCメキシコ選手権 撮影/姉崎正)

(写真は2020年のWGCメキシコ選手権 撮影/姉崎正)

果たしてデシャンボーは破壊的飛距離でマスターズをも制するのか? 中井学は、こう語る。

「ポイントは、48インチのドライバーは『曲げにくい』ということです。オーガスタはドッグレッグしているホールも多いので、真っすぐ遠くに飛ばすことに長けた長尺ドライバーは、ボールを左右に曲げる必要があるオーガスタでは有効に機能しないように思うんです。なので、48インチをもし入れたら、勝つチャンスはむしろ減ると思います。彼の飛距離なら、48インチどころか3番ウッドでティショットしても2オンできますからね」(中井)

とはいえ、だからといってデシャンボーが優勝候補でないわけではない。「彼には飛距離より、ウェッジとパターの良さがある」(中井)というのがその理由だ。ガラスのグリーンと呼ばれるグリーンの正体は、極めて傾斜の強いグリーン。そこでのパッティングを制するものがやはりオーガスタを制するという考えだ。だからこそ「48インチを入れなければ勝つチャンスはあると思います」と中井は言う。

ただ、デシャンボーは従来の常識の遥か上を行ってきたのまた事実だ。たとえば、中井が「48インチだと攻略が難しいホール」として挙げた13番、左ドッグレッグのパー5で、デシャンボーはドッグレッグを無視して、ホールを真っすぐ突き抜けた先にある14番フェアウェイに打っていく戦略を海外メディアに語っている。48インチドライバーをコースに合わせて使うのではなく、コースの使い方を48インチドライバーに合わせるような、規格外の戦略だ。このような戦略がハマってくれば、48インチのデメリットは、メリットに変わってしまうかもしれない。

「パトロンがいたら、やはりそこに打ち込んでいくイメージはできません。パトロンがいないからこそ“見えた”ルートなんでしょうね。クリーク越えになるけれど、それでもウェッジで狙うほうがいいということでしょう。ただ、それでもやっぱり48インチの使用はショートゲームのタッチにも誤差を生じさせる可能性もありますし、『使ったら勝てない』と僕は思います」(中井)

48インチのドライバーを投入するにせよ、しないにせよ、今週開幕するマスターズで全米オープンに引き続き“規格外“のプレーを見せてくれるだろう。果たしてデシャンボ―は紅葉のオーガスタでグリーンジャケットに袖を通すことはできるのだろうか。

画像: インサイドからクラブが下りる!笹原優美が教える、テークバックのワンポイントアドバイス youtu.be

インサイドからクラブが下りる!笹原優美が教える、テークバックのワンポイントアドバイス

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