ディフェンディングチャンピオンとして秋の開催となったマスターズに臨むタイガー・ウッズ。速く硬くアンジュレーションの強いオーガスタのグリーンを見事に攻略するアイアイショットに、プロゴルファー・中村修が注目した。

昨年43歳で11年ぶり、メジャー通算15勝目をマスターズ制覇で遂げたタイガー・ウッズ。体の故障で長くメジャー優勝からは遠ざかっていましたが、マスターズでの復活優勝は感動的なシーンとして目に焼き付いています。その後千葉県で開催された「ZOZOチャンピオンシップ」でも優勝。テレビマッチと練習日、プロアマでじっくりタイガーを見ましたが、アイアンショットの乾いた打音は今でも耳に残っています。

「オーガスタGCを攻略する上でで大切なことはセカンドショットだ」と6度の優勝を誇るジャック・ニクラスはいいます。自在にボールを操りバーディチャンスを量産するタイガーのアイアンショットを見てみましょう。

画像: マスターズ初出場から25周年を迎えディフェンディングチャンピオンとして臨むタイガー・ウッズ(写真/2020 Masters Tournament)

マスターズ初出場から25周年を迎えディフェンディングチャンピオンとして臨むタイガー・ウッズ(写真/2020 Masters Tournament)

スクェアグリップで握り、右手が左手よりも下に位置する分だけ右肩が下がる傾きの少ない非常にバランスのいいアドレスの姿勢です(画像A左)。始動からノーコックでヘッドを遠くに上げるワイドなテークバック、そして右への移動は少なく体のセンターに大木を抱くように太い軸を取っています。ヘッドを遠くに上げるワイドなテークバックは、始動から体幹部がしっかりとねじられ手先を使い過ぎないメリットがあります(画像A右)。

画像: 画像A:オーソドックスでバランスのいいアドレス(左)からヘッドを遠くに上げるワイドなテークバック(右)(写真は2020年のファーマーズインシュランスオープン 写真/姉崎正)

画像A:オーソドックスでバランスのいいアドレス(左)からヘッドを遠くに上げるワイドなテークバック(右)(写真は2020年のファーマーズインシュランスオープン 写真/姉崎正)

この連続写真で持っているクラブはミドルアイアンだと思いますが、コンパクトで無理のないトップでフェースの向きは斜め45度を向くスクェアフェース。度重なる故障から体に負担の少なく効率のいいスウィングを追求し、たどり着いたスウィングは軸をセンターに取りスタンスはやや狭くしています(画像B左)。

切り返し(画像B右)で左へ踏み込み横方向の力を得ていますが、その動きは小さいです。手元が体から遠くに下りていてクラブが立ち過ぎないことで入射角はゆるやかになり、安定したスピン量を確保できるダウンスウィングです(画像B右)。

画像: 画像B:軸をセンターに取りコンパクトで体の負担が少ないトップ(左)から下半身を使って回転力を得るダウンスウィング(右)(写真は2020年のファーマーズインシュランスオープン 写真/姉崎正)

画像B:軸をセンターに取りコンパクトで体の負担が少ないトップ(左)から下半身を使って回転力を得るダウンスウィング(右)(写真は2020年のファーマーズインシュランスオープン 写真/姉崎正)

切り返し以降左ひざを伸ばしていき、インパクトでは左のひざが伸び切っています。この一連の動きにより、体の左サイドでグリップエンドを引っ張るようなエネルギーを発生させています。左手の甲はフェースの向きと一致していて、方向性を確保していることがインパクトの写真からはわかります。

フォロー(画像C右)では右腕を内側に絞るような野球のピッチングで投手がボールをリリースしたあとと似た動きが見て取れます。スクェアフェースで適度ななフェースの開閉をしながら打つタイプの人すべてのお手本になるスウィングです。やはり素晴らしいですね。

画像: 左ひざを伸ばす動きが入り地面からの反力を使い飛ばしのエネルギーを確保し(左)、右腕を内側に絞るような野球のピッチングと同じ動きの中でフェースをスクェアに戻し振り抜いていることが見て取れる(右)(写真は2020年のファーマーズインシュランスオープン 写真/姉崎正)

左ひざを伸ばす動きが入り地面からの反力を使い飛ばしのエネルギーを確保し(左)、右腕を内側に絞るような野球のピッチングと同じ動きの中でフェースをスクェアに戻し振り抜いていることが見て取れる(右)(写真は2020年のファーマーズインシュランスオープン 写真/姉崎正)

11月開催ということで、4月よりも気温は5度ほど低く、フェアフェイもソフトであまりランも期待できないという情報が入ってきています。タイガーの場合は、体のコンディションが何よりもプレーに影響すると思いますので、寒さはマイナス材料になるでしょう。

しかし、グリーンもまだそこまで速くないようですので、チャンスは出てきます。切れ味鋭いアイアンショットからのバーディを今年も見せてくれるに違いありません。

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