「三井住友VISA太平洋マスターズ」の最終日の最終ホールのあわやアルバトロスかという劇的なイーグルで優勝を決めた香妻陣一朗。4日間のパーオン率6で位タイと安定したショット力で優勝を引き寄せたそのスウィングをプロゴルファー・中村修が解説する。

目まぐるしく順位が入れ替わる試合展開の中、劇的なイーグルで優勝を手繰り寄せた香妻陣一朗選手。コーチとしてサポートする森守洋コーチはその強みはショートゲームだといいます。

「スウィングを変えたがる性分なので、軌道修正しながら仕上げて来ました。一番の強みは、パッティングです。アプローチとパターは良いものを持っているので、これからは自信を持ってプレーできると思います」(森守洋)

森コーチの話す通り、パーキープ率(パーかそれより良いスコアを獲得する率)は1位とショット力に加えて初優勝のプレッシャーに何度も崩れそうになりながらも、アプローチとパットで耐えたことが、最終ホールのイーグルにつながった印象です。ではそのスウィングを見てみましょう。

画像: 最終ホールの劇的なイーグルで初優勝を挙げた香妻陣一朗(写真は020年三井住友VISA太平洋マスターズ 写真/有原裕晶)

最終ホールの劇的なイーグルで初優勝を挙げた香妻陣一朗(写真は020年三井住友VISA太平洋マスターズ 写真/有原裕晶)

スッと立ったバランスのいいアドレス(画像A左)からトップでは右のひざを伸ばすように使うことで深く体幹部をねじり、エネルギーを蓄えています(右)。前傾角もしっかりキープされていますね。トップでのフェースの向きはスクェアで、スウィングの中フェースを開閉しながら打つタイプといえます。

画像: バランスのいいアドレス(左)から下半身を積極的に使い右ひざを伸ばすようにテークバックをする(写真は2020年のフジサンケイクラシック 写真/大澤進二)

バランスのいいアドレス(左)から下半身を積極的に使い右ひざを伸ばすようにテークバックをする(写真は2020年のフジサンケイクラシック 写真/大澤進二)

切り返し以降は左ひざを伸ばす方向に動きをシフトし回転力を得ます。下半身は早い段階でおへそがターゲット方向を向きますが、上半身は同時に開かず、ちょっと遅れて開くことでクラブはインサイドから適正な傾きでオンプレーンに下りてきています。ダイナミックに下半身を使って打っていることが見て取れます。

画像: 画像B 切り返し以降は左ひざを伸ばす方向にシフトし(左)、正しい軌道でクラブを振るために下半身を積極的に使う(写真は2020年のフジサンケイクラシック 写真/大澤進二)

画像B 切り返し以降は左ひざを伸ばす方向にシフトし(左)、正しい軌道でクラブを振るために下半身を積極的に使う(写真は2020年のフジサンケイクラシック 写真/大澤進二)

画像B左のダウンスウィング、右のインパクト、そして画像C左のフォローのシャフトのラインがすべて平行になっていることから、クラブの軌道は非常に安定したお手本のようなプレーンで振れていることがわかります。

あとは狙った方向に向けてフェースをスクェアに戻すタイミングが重要になりますが、それを手先で合わせるのではなく、下半身を使ってタイミングをとっていて、それが安定したショット力につながっています。

画像: 画像C ダウンスウィング、インパクト、フォローでシャフトの同じ傾きで振れていることからオンプレーンで安定したショット力につながっている(写真は2020年のフジサンケイクラシック 写真/大澤進二)

画像C ダウンスウィング、インパクト、フォローでシャフトの同じ傾きで振れていることからオンプレーンで安定したショット力につながっている(写真は2020年のフジサンケイクラシック 写真/大澤進二)

物心ついたころから姉の香妻琴乃選手と横峯さくら選手の育った「めだかクラブ」でクラブを振っていたといいます。同門の2学年年上の出水田大二郎選手に先を越されていましたが、追いつき追い越せで頑張ってきた成果が花を咲かせました。

165センチの小柄な体格ですが、小粒でもぴりりと辛い山椒のように鋭いプレーでツアーを盛り上げてくれる存在になるのではないでしょうか。

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