「マスターズ」で注目を集めたギアといえば、フィル・ミケルソン、アダム・スコットらが採用した“長尺ドライバー“だが、48インチの使用を示唆したデシャンボーは採用を見送り、ミケルソン、スコットも上位進出はならなかった。一方、優勝したダスティン・ジョンソン(DJ)は最近めっきり見る機会が減った7番ウッドをバッグに入れていた。改めて7番ウッドを入れる意味をプロゴルファー・中井学に話を聞いた。

「ダスティン・ジョンソンを含めUSPGAで7番ウッドを入れている選手が増えてきていますが、これは狙ったところにピンポイントに落とすため。別の言い方をすれば、仮に7番ウッドの飛距離が250ヤードだとしたら、“それ以上飛ばしたくない“ために使うという考え方です」(中井)

フェアウェイウッドというとアマチュアにとっては“飛距離を稼ぐクラブ“というイメージがあるが、プロたちにとって7番ウッドはウェッジやアイアンと同じように「ターゲットにボールを止めるクラブ」だと中井は話す。

画像: 7番ウッドを使いこなしたダスティン・ジョンソンがマスターズを制した(写真/2020 Masters Tournament)

7番ウッドを使いこなしたダスティン・ジョンソンがマスターズを制した(写真/2020 Masters Tournament)

“ターゲットに止めるクラブ“ということであれば同じロフトのアイアン型を含むユーティリティクラブてもいいのでは? とも思えるが、中井はPGAツアーだからこそのコースセッティングに理由があるというのだ。

「PGAツアーの速いグリーンで球を止めるためにはフワッと落とす必要があるんです。だけどハイブリッド(ユーティリティ)系は重心が浅いからロースピンの“強い球“になってしまい、止まらない可能性があります。7番ウッドのように重心が低く後ろにあるクラブのほうが、打ち出し角が高くなる分だけ上から落ちて止まりやすいんです」(中井)

最終日のDJは距離のある打ち上げのパー5である8番ホール、ピンまで残り244ヤードのセカンドショットで7番ウッドを使用。グリーンにピタリと止めて2オンに成功し、2パットでバーディを奪っている。フロントナインのやや苦しい展開のなか、サンデーバックナインに向けて非常に大きいバーディだった。

そして、7番ウッドを入れるのは、アマチュアゴルファーの「スコアメークに役立つ可能性は高い」ともいう。

「アマチュアゴルファーでハイブリッドを入れている方も多いと思いますが、アイアンが苦手、球が上がりづらいという方は7番ウッドや9番ウッドといったショートウッドを使ったほうがボールは上がりますし、球を止めることができる可能性があります。そういう人は意外と多いと思いますよ」(中井)

プロにとって以前はスピンがかかりすぎてつかいにくいクラブだった7番ウッド。素材や製法の進化により、ふたたびプロたちがこのクラブを手に取りはじめている。実は進化している7番ウッドを、今一度試してみてはいかがだろうか?

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