安田祐香、吉田優利、西村優菜など2000年度生まれの「プラチナ世代」の一人としてアマチュア時代から活躍した古江彩佳。同世代では西村が今年初優勝を果たしたが、ほかに優勝者はおらず、古江はアマ時代を含めれば通算3勝。完全に頭ひとつ抜きんでた印象だ。
そのスタッツを見てみると、フェアウェイキープ率76.28&(4位)、パーオン率73.12%(15位)とショット力の高さが見える。そして特筆すべきはパーセーブ率91.89%(1位)とリカバリー率75.97%(1位)という数字だろう。これは、たとえグリーンを外しても簡単にはボギーを打たないディフェンス力を物語る。
プレーオフの末勝利をつかんだ「伊藤園レディス」最終日の7番ホールで、グリーン奥から下り傾斜のラインに対してカラーに落として寄せたアプローチに度肝を抜かれたゴルフファンも多いのではないだろうか。その試合で古江と初タッグを組んだプロキャディ・川口大二に話を聞くと「とにかく上手くて驚いた」と驚きの声を聞かせてくれた。
「初日と2日目は一切曲がりませんでした。初日はすべてフェアフェイ、2日目はファーストカットが2回だけであとはすべてフェアフェイ。初日はすべてパーオンして上がり4ホールで3バーディ、2日目は7アンダー、『うんめえなぁ』と驚きました」(川口)
そしてショット力だけでなく、ゴルフ脳の高さもずば抜けていると感じたという。
「ピン位置から逆算して(セカンドショットが打ちやすいように)フェアフェイの右サイドや左サイドに打ち分けていますし、ライン読みも(キャディに)確認はするけど最終的には自分で決めたところに打っている。キャディはいらないんじゃないかと思うくらいゴルフ脳が高いなと感じました」(川口)
そして優勝のプレッシャーの中でも楽しくプレーできるという、メンタル面の強さもある。朝、コースに向かうクルマの中では、浜崎あゆみの歌を歌いながら「いくぜ最終日!」とテンションを高めて来たという。
「キャディさんがメインで会話することが多いけど、そこでのオンとオフの切り替えで楽しんだりとか、プレー中となると自分が思ったところに打てるかどうかが一番楽しむ材料かなと思います。ポジティブに考えることですごく楽しめてます」(古江彩佳)
ショット力、ゴルフ脳、そして優勝争いすらも楽しんでしまうメンタル。それらを兼ね備える古江はつまり“プロ向き”の選手だと言って良さそうだ。
そして、それらを支えるのが練習時間の長さ、スタートの1時間40分前から始まるという試合前の朝のルーティンなど、しっかりした時間の管理にある。全米女子オープンの出場資格も獲得したという古江彩佳。世界ランクは畑岡奈紗、渋野日向子、鈴木愛に次ぐ30位に浮上。オリンピック代表も見えてきたハタチの活躍から、まだしばらく目が離せそうにない。