各メーカーが様々なニューモデルを発表した2020年秋。はたしてゴルファーの人気を集めたのはどのクラブ? ゴルフ小売り大手「ゴルフ5」の売り上げデータを基にしたランキングを発表!

G425MAXが大人気。ドライバーのやさしさも多様化の傾向

さっそく、2020年秋のニュークラブ売り上げランキングを見てみよう。今回のランキングの対象となるクラブは2020年9月以降に発売したクラブに限定し、売り上げデータは2020年9月1日から10月31日までの2か月間の売り上げを参照した。

ではさっそくランキングを見てみよう(カッコ内は発売日)。

1位:ピン G425MAXドライバー(9月18日)
2位:ピン G425ハイブリッド(9月18日)
3位:ピン G425MAXフェアウェイウッド(9月18日)
4位:テーラーメイド SIMグローレドライバー(10月9日)
5位:ピン G425LSTドライバー(9月18日)
6位:キャロウェイ ビッグバーサドライバー(10月9日)
7位:ピン G425SFTドライバー(9月18日)
8位:ブリヂストン ツアーB Xドライバー(9月18日)
9位:キャロウェイ ジョーズフォージドウェッジ(9月25日)
10位:テーラーメイド SIMグローレフェアウェイウッド(10月9日)

ピンのニューモデルG425シリーズのドライバーからユーティリティまでのウッド類がトップ3を独占。

ドライバー、フェアウェイウッドともにMAX、 SFT、LSTの3モデルがラインナップされているが、いずれも高慣性モーメントを重視したMAXが支持を集める形となった。5位にはG425LSTドライバー、7位にはG425SFTドライバーもランクインしている。

画像: G425シリーズのドライバー3モデルMAX(左)、LST(中)、SFT(右)はすべて売り上げトップ10入り

G425シリーズのドライバー3モデルMAX(左)、LST(中)、SFT(右)はすべて売り上げトップ10入り

ドライバーの兄弟モデルも人気で、FW、UTも圧倒的な人気を誇るG425シリーズ。その理由を業界屈指のギアオタクでクラブフィッターの小倉勇人氏はこう分析する。

画像: G425ハイブリッド(右)は2位、G425MAXフェアウェイウッド(左)は3位にランクイン

G425ハイブリッド(右)は2位、G425MAXフェアウェイウッド(左)は3位にランクイン

「ニューモデルでもっとも注目を集めるのはやはりドライバーですが、芝の上から打つことになるFWやUTに関してもアマチュアの方は常に良いモノを求めています。ドライバーが注目を集め、試打して結果が良ければ『その下の番手も試打してみよう』となり、そちらも感触が良ければまとめ買いするわけです」(小倉氏)

これはトップ3を独占したG425MAXや、4位にドライバー、10位にフェアウェイウッドがランクインしたテーラーメイドのSIMグローレシリーズにも同じことが言えると小倉氏。

画像: テーラメイド「SIMグローレドライバー」

テーラメイド「SIMグローレドライバー」

となると、シリーズ全体の人気はドライバーがアマチュアが求める性能を持っているかどうかが重要となってくるわけだが、そのドライバーについてはランクインした中でも性能の傾向が異なっているという。

「人気を集めたG425MAXはこれまでも人気を集めていた、深・低重心のいわゆる“やさしいデカヘッド”。対して、4位のSIMグローレもつかまり性能は高いですが、デカヘッドというわかりやすさよりも奇麗な顔を追求したモデル。6位のビッグバーサもスライサー向けのつかまるモデルですが、デカヘッドでありながら重心は浅めで、SIMグローレとはまた違うアプローチでボールをつかまえる性能を実現しています」(小倉氏)

画像: キャロウェイ「ビッグバーサ ドライバー」

キャロウェイ「ビッグバーサ ドライバー」

ドライバーのやさしさにも多様性が出てきていて、かつそれがアマチュアに受け入れられているというのだ。さらに小倉氏が「意外でした」と話すのが、8位にブリヂストンのツアーBシリーズ最新モデル、ツアーB Xドライバーがランクインしている点だ。

「ツアーB Xはまた少し毛色が違うモデルです。G425MAXやSIMグローレ、ビッグバーサのやさしさってつかまり性能や打点のミスに対する寛容性の高さが主。一方のツアーB Xも当然ミスへの寛容性を持っていますが、重視している点が違います。前者がある程度のミスを前提に飛距離ロスを軽減することを重視しているのに対し、後者は芯に当てやすくして飛距離を伸ばすことを重視しているんです」(小倉氏)

ツアーB Xに関しては操作性も高くスウィングの結果が弾道に比較的反映されやすいモデルで、ド力と言えば近年のデカヘッドよりも、数世代前の操作性を重視したモデルに近いコンセプトを持っていると小倉氏。「もちろんツアーBブランドの信頼もあるでしょうが、デカヘッドを苦手とする方が確実に存在することがわかる結果ですね」と分析する。

画像: ブリヂストンゴルフ「ツアーB Xドライバー」

ブリヂストンゴルフ「ツアーB Xドライバー」

トップ10のほとんどはウッド類で占められているが、その中で唯一ランクしたウェッジが、キャロウェイのジョーズフォージドウェッジ。

画像: キャロウェイ「ジョーズフォージドウェッジ」

キャロウェイ「ジョーズフォージドウェッジ」

「石川遼選手が実戦投入したことでも話題になりましたし、個人的な印象ですがSNSなどでの宣伝も多く見た気がします。ウェッジってニューモデルが出ても通常こぞって買い替えに走るクラブではない印象ですが、ジョーズフォージドに関しては販促が功を奏して試打・購入に踏み切った方が多かったのではないでしょうか」(小倉氏)

まとめると、ピンのG425シリーズが合計5モデル、テーラーメイドのSIMグローレシリーズが合計2モデルランクインと特にアマチュアゴルファーの人気を集めたが、一方で性能の多様化はさらに進んでいる様子。

なお、今回のランキングは集計期間の都合上、11月13日発売のタイトリスト「TSi」シリーズは結果に含まれていない。同様に発売日から日が浅かったヤマハ「インプレスUD+2」(10月16日発売)とダンロップ「スリクソンZX」(10月17日発売)も、それぞれ秋のニューモデルの中でも注目を集めるシリーズだ。

秋モデルがすべて出そろいある程度の期間を置いたうえで改めて集計すると、最終的にどのような結果となるのかも楽しみなところだ。みなさんはこの秋、どのクラブが気になった?

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