85歳になってなお精力的に世界を飛び回りゴルフの伝道師としての活動を行っているゲーリー・
プレーヤーがSNSにマスターズの思い出を投稿。ビッグ3として凌ぎを削ったライバル、アーノルド・パーマーとのとっておきのエピソードを語っている。

朝もやのオーガスタ。ギャラリーのいない静寂に包まれたマスターズ初日、プレーヤーはジャック・
ニクラスとともに今年も大会の名誉スターターを勤めた。なにからなにまで変則だった11月のマスターズだが好々爺の胸中には数々のシーンが甦っていた。

マスターズ3勝のプレーヤーが初めてグリーンジャケットに袖を通したのは1961年。その年優勝を争ったのはいまは亡き朋友パーマーだった。

「18番では2人ともバンカーにつかまった。でもこちらのほうがライが良かったのでフェースを開いてボールを左に置くオーソドックスなスタイルで球を上げて寄せることができた」と語ったプレーヤーは相手が置かれた状況も冷静に把握していた。

画像: ゲーリー・プレーヤーがライバル、アーノルド・パーマーとのとっておきのエピソードをSNSで語った(2019年のマスターズ 撮影/姉崎正)

ゲーリー・プレーヤーがライバル、アーノルド・パーマーとのとっておきのエピソードをSNSで語った(2019年のマスターズ 撮影/姉崎正)

「パーマーのボールは若干砂に埋まっていたのだが、そのとき彼はフェースを開いてバンカーから脱出しようとしたんだ。これが間違いでね。グリーンはピンに向かって下り。ライも悪い。そういうときはフェースを閉じて球を右に置いて上からヘッドを振り下ろすのが正解。でも彼はそうしなかった。案の定ボールは勢いよくグリーンの外まで転がりダブルボギー。で、自分に初優勝が転がり込んだ」

そしてこう付け加えた。「そもそもパーマーはバンカーが上手くなかったんだ。キャリアを通してね」。ん? マスターズ4勝、メジャー7勝のレジェンドがバンカーが下手だったとは……。

しかしもちろんその弱点を凌駕するほどの強みがパーマーにはあった。

「その前の年(60年)のことも忘れられない。残り3ホールで自分が2打リード。で、16番(パー3)がやってきた。自分はバーディチャンスにつけたがパーマーはグリーンに乗らず右のフリンジ。キャディと“あそこから寄せてパーで上がったのは見たことがないよな”と話しもんだ。しかーし、ヤツは時速100キロくらいに感じほど超高速アプローチでブン! 見事に寄せたよ。あれはすごかった!」

画像: アーノルド・パーマーの”攻撃的”なプレーを今でも思い出すとゲーリー・プレーヤーはいう

アーノルド・パーマーの”攻撃的”なプレーを今でも思い出すとゲーリー・プレーヤーはいう

続く17番でパーマーは6メートル、最終18番でも2メートルのバーディを決めプレーヤーを逆転、マスターズ2勝目を挙げた。

「上がり3ホールの攻撃的なプレー。それがファンを夢中にさせた彼の真骨頂だった。あのシーンはいまでも1カ月に一度くらい思い出す。“アメリカには神がいる”と思ったもんだ」

バンカーは下手だが攻撃プレーにおいては神クラス。生涯のライバルだからこそ語れるマスターズの貴重なエピソードだ。

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