女子ツアーの年内最終戦「JLPGAツアーチャンピオンシップ リコーカップ」が11月26日から開催される。成績上位者しか出場できないこの試合に、見事賞金ランク30位以内の資格で初出場を果たした金澤志奈。プロゴルファー・中村修がそのスウィングに注目した。

バーディ数ランク14位

1995年生まれの金澤志奈選手は2018年の賞金ランク57位、2019年は51位と、シード権にギリギリ届かない悔しい思いをしながらも、着実にステップアップしている選手。

昨年のランク51位により前半戦に出場できる資格を確保すると、今季は日本女子プロゴルフ選手権の7位タイ、三菱電機レディスでの4位タイと2試合でトップ10に入り予選落ちは2回だけと安定感を見せ、13試合の出場で賞金ランク27位にランクインしています。

昨年までと比較してみると、一番改善されたのは42位だったバーディ数で、14位にまで上がっています。フェアウェイキープ率(17→13位)、パーオン率(28→35位)は昨年と比べてとそれほど変わっていないのにバーディが増えているということは、パットが入っているということ。

やはり、パーオンしたホールの平均パットを見てみると55位から25位へと大きくランクアップしています。パーオンした時によりカップに近いところに乗せられていることと、パットそのもの、両方が良くなっていることが見えてきます。ショットとパットが噛み合った状態ですね。

フェアウェイキープ率が高く、安定したドライバーショットを武器にゲームを組み立てる、そのスウィングを見てみましょう。

画像: 「LPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」に挑む金澤志奈(写真は2020年のニトリレディス 写真/代表撮影 上山敬太)

「LPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」に挑む金澤志奈(写真は2020年のニトリレディス 写真/代表撮影 上山敬太)

昨年の飛距離は232.31ヤードと飛ばし屋の部類ではありませんが、10月末の「三菱電機レディス」の会場で見たところ、飛距離は少し伸びている印象で、相変わらず非常に安定したドライバーショットを打っていました。

手足の長さを生かした高く構えたアドレスから(画像A左)。手元が頭から遠いフラットなトップまでスムーズに上がっていきます。無理に右わきを締めないトップも特徴的で肩甲骨周りの柔軟性、可動域の広さを感じさせます。

画像: 画像A 手足の長さを生かした高く構えたアドレス(左)からトップは手元は頭から遠くややフラット(右)(写真は2020年三菱電機レディス 写真/姉崎正)

画像A 手足の長さを生かした高く構えたアドレス(左)からトップは手元は頭から遠くややフラット(右)(写真は2020年三菱電機レディス 写真/姉崎正)

トップからは、骨盤の前傾が深くなるように地面を踏み込んで切り返し(画像B左)、下半身の力で回転力を得てクラブを振る力に効率よく変換しています。シャフトの傾きを見ると一枚の板の上をなぞるように振れていることからも安定したスウィングプレーンで振り抜けていることが見て取れます。

画像B右のインパクト直後の画像では、右腕が内旋しフェースを返す動きが入っています。この動きが体の回転力を腕からクラブヘッドに伝える重要な動きになります。しっかりとボールに力が伝わっていますね。

左ひじが引けボールに力が伝わらない人は、この動きがお手本になります。インパクト直後に右腕を内旋させる、野球のピッチングと同じ動きを意識して、ダウンスウィングをしてみるとインパクトでボールをつかまえられるかもしれません。

画像: 画像B 骨盤の前傾が深くなるように踏み込んで切り返し(左)、体の回転力をしっかりとクラブヘッドに伝えている(右)(写真は2020年三菱電機レディス 写真/姉崎正)

画像B 骨盤の前傾が深くなるように踏み込んで切り返し(左)、体の回転力をしっかりとクラブヘッドに伝えている(右)(写真は2020年三菱電機レディス 写真/姉崎正)

数か月前のシーズン開幕前に撮影で訪れたコースに練習に来ていた金澤選手に偶然遭遇したことがあります。試合がないなかでも黙々と練習する姿に、今季の活躍を期待していました。今週は2020年の最終戦になりますが、シーズンは21年まで続く長丁場です。今季の成長を来季につなげ初優勝を見せて欲しいですね。

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