「このコースは砲台グリーンだから難しいんだよね」そんな会話をゴルフ場ではしばしば耳にする。ではこの砲台グリーンってどういうグリーンことだろう? また、なぜそのようなグリーンにする必要があるのだろうか? わかりやすく解説!
日本の古いゴルフ場は、ひとつのホールにグリーンが2つある「2グリーン」のコースが多い。Aグリーン、Bグリーンといったふうに分けられ、季節や営業日によって異なるグリーンに向かって打っていくことになるのだが、2グリーンだと、必然的にそれぞれのグリーン面積は小さくなる。
グリーンが小さいため、そこに乗せるのは難しいが、オンさせてしまいさえすれば、小さい分だけ必然的にパットは短くなり、バーディチャンスが増えるという結果になる。
そこで、グリーンオンの難易度を上げ、同時に水はけを良くするために、「砲台グリーン」が採用されるケースが多かったようだ。文字通り、砲台のように周囲より一段高くなったグリーンだ。
砲台グリーンは、盛土をしてグリーン全体が周囲より高くなっているので、グリーンにキャリーしてボールを止めないとグリーンからボールが転がり出てしまうことになる。お椀をひっくり返したような形状のグリーンの場合、中心から外側に向けて全体に傾斜しているため、その傾向は強まる。
そのため、砲台グリーンでは花道狙いで手前から攻めるのがセオリーとなっている。奥にこぼしてしまうと、下り傾斜に向けて球を上げるアプローチで寄せていくことになりやすく、難易度が高まってしまうからだ。
もともと2グリーンは、高温多湿な日本の夏を乗り切るために、芝種の異なる2つのグリーンを季節ごとに使い分けるための苦肉の策として生まれた。しかし近年では芝の品種改良によって、夏の暑さに耐える芝種ができたため、1グリーン化が進んでいる。
いずれにしても、砲台グリーンのコースを攻めるときは、奥にこぼすとトラブルになることを念頭にプレーするといいだろう。