様々なアイアン型ユーティリティを試してきたゴルフトレンドウォッチャー・コヤマカズヒロが、その経験からどんなモデルを選ぶべきかを解説! 最新モデル、使うならどれ?

一時期は数が少なくなってきたものの、最近になってまたアイアン型ユーティリティ(※以下UT)のラインナップが、市場に登場するようになった。これはPGAツアー選手が愛用しているケースが多いからだろう。

筆者はゴルフ歴の浅いころから、様々なアイアン型UTを試してきた。元祖UTと言える初代「ズームi」は何本も持っていたし、その原型とも言えるカーボンヘッドのタラコ型アイアン「インテスト」も試してみた。同じ頃に出たブリヂストンの「MR-23」やロイヤルコレクションももちろん打った。

2000年代になってからは、ミズノの「ツアースピリット(川岸モデル)」や「FLI-HI」も愛用したし、キャロウェイの「Xユーティリティ」から始まる歴代のモデルはどれも好きだった。そしてその間、フォーティーンの名器「HI-858」も何度も買い直した。タイトリストが良いと聞けば「T-MB」を買い、スリクソンも本間も試してみた。最近だと、ピンの歴代クロスオーバーも買った。

画像: ロングアイアン(左)よりも優しいのがアイアン型ユーティリティ(右)だ

ロングアイアン(左)よりも優しいのがアイアン型ユーティリティ(右)だ

これらのクラブにはそれなりにいい思い出もあるし、目の覚めるようなショットが出たこともあるのだが、さんざん打ち倒した結果、得た結論は、アイアン型UTは難しいということだった。ロングアイアンよりも面長で操作性が劣り、飛ぶ分だけミスが出ると大ケガになりやすくなる。そして、ミスへの許容性やボールの上がりやすさを比較すると、ウッド型UTのほうがかなり優位性はある。

したがって、アイアン型UTと相性が良いのは、それこそツアープロのように、ロングアイアンが苦もなく打てるものの、もう少し高さや距離が欲しい人ということになる。またはウッド類やUTが苦手で、アイアンは得意な人にも優位性がある。大昔はドライバーが苦手で、ティショットで2番アイアンを多用するゴルファーも少なくなかったが、今ならそんなケースはアイアン型UTの独壇場だ。2番アイアンよりもずっとやさしく、飛距離も稼げる。

画像: ピンの「G425クロスオーバー」

ピンの「G425クロスオーバー」

最近のアイアン型UTはそんなニーズの違いもあってか、モデルによって性格の違いがより際立ってきた。典型的な例として比較しやすいのは、ピンの「G425クロスオーバー」とテーラーメイドの「SIM DHY」と「SIM UDI」だ。

「G425クロスオーバー」は、(歴代のクロスオーバーがそうであるように)とにかく球が強い。打ち出し角は高いが、低スピンでライナー性の弾道で飛んでいく。素晴らしく飛距離性能が高いが、ちょっと荒っぽさを感じるというか、この球の強さは飛び過ぎを心配したくなるほどだ。スピン量が少なめなので、フォローの風が強いとドロップするリスクもある(もっともフォローでドロップしたボールは、転がって飛んでいることも多い)。

テーラーメイドの「SIM」2機種は、シャープな見た目に反して、スピンは比較的入りやすい。もちろん打ち出し角も高いので、グリーンをより狙いやすいイメージが湧く。インパクトでの球持ちの良さも感じるので、アイアンほどではないが、球筋のコントロールも行いやすそうだ。

画像: テーラーメイド「SIM UDI(左)」と「SIM DHY(右)」

テーラーメイド「SIM UDI(左)」と「SIM DHY(右)」

「G425クロスオーバー」なら、アイアン形状のクラブで飛距離を稼ぎたい人やティショットを打ちたい人にハマるだろう。4番でロフト角22.5度なので、ヘッドスピードが速くない人なら、無理に2番や3番を使わなくても4番で十分飛距離を稼げる。一方、グリーンを狙ったり、より球をコントロールするなら「SIM」の2機種のほうが向いているだろう。

難しいのは、クラブのこうした性格の違いが見た目だけではほぼわからないことだ。理想は、(できれば風の中で)自分の使用ボールをコースで打ってみて、弾道の違いを確かめることだが、現実にはなかなか難しいだろう。

弾道計測器で比較すると、飛距離が出るモデルのほうが、優れているように見えてしまう。スピン量や落下角度などに注目して、自分の打ちたい弾道が出るモデルを選ぶのが重要だ。

ちなみに、アイアン型UTはシャフト選びも難しい。アイアンと同じシャフトで揃えると、重くなりすぎる場合が多いからだ。使いこなすのが難しく、クラブ選びも難しい。しかし、なぜかまた試したくなるのが、アイアン型UTというクラブなのだ。

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