国内男子最終戦「ゴルフ日本シリーズJTカップ」が12月3日から開催される。出場する選ばれし30選手の中で、プロゴルファー・中村修が注目するのは前戦・ダンロップフェニックスでプレーオフの末金谷拓実に敗れはしたが存在感をアピールした石坂友宏。21歳の切れ味鋭いスウィングを分析!

「ダンロップフェニックス」のプレーオフでは98年生まれで22歳の金谷拓実選手と99年生まれで21歳の石坂友宏選手の戦いになりました。金谷選手に続いて世界アマチュアランク1位に輝いた20歳の中島啓太選手も含めて、若い世代の波が押し寄せていることは明らかです。

石坂選手も大学生を続けながら、昨年のQT(予選会)のファイナルステージを25位で終えプロ転向。今季はAbemaTVツアーに4試合出場し最上位は10月下旬の「デイライトワークスチャレンジ」の20位タイ。レギュラーツアーでは初戦の「フジサンケイクラシック」で予選落ち、2戦目の「日本オープン」で52位。しかし3戦目の「ダンロップフェニックス」で2位と一気に全国に名を売り、日本シリーズの出場も手中に収めました。

画像: ダンロップフェニックスでプレーオフの末惜しくも2位と躍進した石坂友宏(写真は2020年のダンロップフェニックス 写真/姉崎正)

ダンロップフェニックスでプレーオフの末惜しくも2位と躍進した石坂友宏(写真は2020年のダンロップフェニックス 写真/姉崎正)

「ダンロップフェニックス」では、グリーンを外しても粘り強くパーを重ねるショートゲームの上手さが印象的でした。その週のスタッツを見てみてもパーオン率は61.11%で54位タイでしたが、パーキープ率は93.06%で2位タイ、18ホールの平均パット数は1位という内容でした。ではそのスウィングを見てみましょう。

映像で見ていましたが初めて体験するレギュラーツアーでの優勝争いの中でも落ち着いてプレーしていました。アドレスの立ち姿に力感もなく、自分のテンポで振れていました。

画像Aの右の切り返しを見ると、前傾角をキープした状態のまま、足裏で地面を踏み込んだ力を静かに使って体幹部をねじっていることが見て取れます。下半身から上半身の力の伝達がスムーズで、写真はおそらくは縦の距離をコントロールしたいショットだと思いますが、力まずに打てています。

画像: 画像A 立ち姿に力感がなく(左)ダウンでは前傾角をキープし下半身は静かに使う(右)(写真は2020年のダンロップフェニックス 写真/姉崎正)

画像A 立ち姿に力感がなく(左)ダウンでは前傾角をキープし下半身は静かに使う(右)(写真は2020年のダンロップフェニックス 写真/姉崎正)

画像B左のインパクトを見ても、下半身の使い方は静かで、ボールを運ぶように打っています。下半身の動きを見ると、縦方向のエメルギーを積極的に使うタイプではなく、回転力を使う割合が多いタイプと言えるでしょう。

そして、画像B右のフォローの画像では頭がしっかりと残っているのが印象的です。残した頭の位置を支点に、フェースを自然に開閉しながら打っていることが確認できます。スウィング軸は大きく分けて右、センター、左の3タイプありますが石坂選手はセンターに軸を置きスウィングするタイプと言えます。

どれが正解ということはありませんが、スウィングが安定しない人は、自分なりのスウィングの支点になる位置を意識するとクラブがスムーズに振れ、安定感につながります。

画像: 画像B ダウンブローでボールをとらえ(左)、頭の位置を支点にしクラブを振ることで安定したスウィングを実現する(右)(写真は2020年のダンロップフェニックス 写真/姉崎正)

画像B ダウンブローでボールをとらえ(左)、頭の位置を支点にしクラブを振ることで安定したスウィングを実現する(右)(写真は2020年のダンロップフェニックス 写真/姉崎正)

「ダンロップフェニックス」でのフェアウェイキープ率は64.29%の12位タイという数値でしたが、優勝争いの中でもスウィングの軸がしっかりして、自分のテンポで打てていたことがプレーオフにまで残る成績につながった要因だと思います。

「ゴルフ日本シリーズJTカップ」は他にも初優勝を狙う今シーズン好調な選手が大勢出場しています。たとえば池村寛世、木下稜介、中西直人、内藤寛太郎、杉山知靖、佐藤太平といった選手たちです。ベテランや実績のある選手の中で石坂選手を含めた彼ら初優勝を狙う選手たちが今年最後の試合でどんな戦いを見せてくれるのか。楽しみな週末になりそうです。

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